「昔」と「感動」

助産院や自宅出産に限らずですが、出産を語るときには「感動」を使われる頻度が高いように感じています。これは「いいお産」を指しているとおもわれますが、いいお産は「昔のお産」として捉えられている方達もいるので、なんとなく「医療の介入しないお産」と、心のどこかで限定されているようにもおもうのです。

刷り込みとは恐ろしいもので、病院での出産に対しては「医師がする行為には常にイエローカード」的な先入観を持つようにされているので、病院での話をすると、「ほら、やっぱりそれって問題の行為」と簡単に思考が働きます。自分に経験がないのに、「病院には、医師には問題の行為がある」と決めつけているのです。不要な医療介入だったのかどうかを精査せずとも、介入する医療行為の大半は不要なものだと思う方が早いものなのだと、患者側同士で話せばすぐに感じられます。

原子的原始的なお産こそが感動できるお産だ ー そう思っている方も少なくないとおもいます。でも本来、お産は退治胎児が無事に世に出て、産声をあげて、そして一緒に家に帰れれば感動できるお産のはずなのです。「感動できるお産」を語るのであるならば、感動できないお産の具体的な話も聞かせて欲しいです。

こんなにも頻繁に感動、感動と口にして、そう、感動に飢えているのは何故なのでしょうか。しっくりとこないものを感じます。

考えさせられる死産の話

ポレロさん、ありがとうございます。


http://www.nurse-community.jp/category6/504/ (魚拓
助産院で陣痛促進剤を使っている? ここはこの助産院が使っている様子ですね。あと、

予定日を過ぎても生まれる気配もなく、陣痛促進剤を使って誘発してみるものの、思うように子宮口が開かず、とても難産でした。少し乱暴ですが、おなかを押してみたりもしましたが、それでも生まれる気配がありません。そうこうするうちに42週を過ぎてしまい、足掛け3日目となった時、突然心音が取れなくなったのです。
提携病院に搬送されたのはその後でした。ご主人が慌てふためいて、私の存在など無視して救急車を呼び、搬送されていきました。

とあるのですが、旦那さんが救急車を呼ぶのに「私の存在など無視して」というのが引っかかります。
更に、持病があって病院で産むべきだという方をイヤイヤにして引き受けた割には、何故、3日間もかけて、お腹をおしたりと“少し乱暴”してまでしていたのか、ここら辺は「無理やり頼まれた」としても、やっぱりその危険性を伝えるべきだし、予測するべきではないでしょうか。
どうしても病院で産みたがらない、というのは聞きますが、でもそれをだからと言って「仕方なく受けている私たちも被害者です」、というのはいただけない。


これは回答している方ですが、

ただでさえリスクの大きな持病を持った人が、病院以外での主産を選択する事自体が、もう「子供の事なんて考えてない自分勝手な人間です」と証明しているようなものじゃないですか。
こんなの受け入れて認めてたら、日本は本当にダメな国になりますよ!

確かに、親としての意識として問題は多いです、正論でもあるのですが、やっぱりこの助産院は最後まで受けてはならなかったんです。

他の回答している方の意見に

出来る限りの処置

とありますが、それは“最初から受けてはいけなかった”ということは置いておいたとして、予定日を過ぎたという段階で“少し乱暴”なことすらせずに、「病院への搬送」をもっと早くすることが出来る限りの処置だったはずです。


私のような一般人が、更に詳細がわからないで言えることはないのかもしれませんが、ただ、この助産師の方がご自身で書かれた内容に対して、全く疑問が残らないというより、気になる点があるので、このご両親が当初懇願したということには私も残念な気持ちを持ちますが、しかし、死産してしまった赤ちゃんのためにどうするべきだったのか、そこは最初から見直すべき点が多々あると思います。
助産師会には明日、連絡してみます。
詳細はわからないにしても、「助産院で陣痛促進剤を使っているらしい」ことと、「熱意をもって頼まれたら、リスクある方でも引き受けて、それについての責任はなしと言えるのか?」は聞いてみたいです。

【カンガルーケアや完全母乳等による低酸素脳症被害者の会】でのこと (1)

まとまった時間がないので、何度かに分けて先日の完全母乳育児促進の問題に参加したときの話をしたいとおもいます。

この会に協力している久保田産婦人科麻酔科医院も参加され、基調されていました。会のHP

呼吸停止に至るメカニズムを研究している

とあります。多くの参院で行われているだろう、カンガルーケアのやり方では危険だという説明にはなるほどとおもえることもありました。
久保田産婦人科麻酔科医院

をご覧いただければ、この日の内容が把握していただけるとおもいます。(サイトがフレームになっているので、直リンクはやめました)
当日の資料も、ここで使われているものでした。

完全母乳にこだわるばかりに、子どもが危険に晒されているという主張は常にある感じですが、その際に「母乳を否定しているわけではない」と、過去に誤解を受けられただろうことで、誤解ないようにしたいというのも伝わってきました。同HPでも

とありますので、それは事実だと思います。では何がいけないのか、というと、

  • カンガルーケアに注意

の中にある【7.完全母乳哺育の短所(危険性)】にその説明があります。この完全母乳育児についての問題で、久保田医師は助産師教育の問題に触れられていました。私は、ここは激しく同感致します。久保田医師は“厚労省の問題”にも、助産師たちの持つ影響力にはご意見あるようで、ここではすごく「一度、お話したい!」とおもいました。
また、カンガルーケアについても「やり方に問題があるわけで、全くやってはいけないとおもっているわけではない」というようなことも仰っていました。ただ、私個人としては、NICUで治療といっていいのかな、そういう形で用いられる分には良いとおもうのですが、正常児に対して無理に用いる必要はないとおもっているし(過去にどうしてかは当ブログでも書いている記憶があるのですが、今は探せない)、久保田医師が示す問題点が事実ならば、助産院や自宅出産でも行われているだろうカンガルーケアの方がより一層、危険なことになるので、そちらへの警鐘をもっと大きく鳴らして欲しい!とおもいます。

なんか、緩くなっていませんか?

すぴかさんから教えていただきました>コチラ

まき割りで安産、“スクワット”で必要な筋肉鍛える/横浜:ローカルニュース :カナロコ -- 神奈川新聞社【魚拓】まき割りで安産、“スクワット”で必要な筋肉鍛える/横浜:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社魚拓

青葉区助産院「バースあおば」の助産師柳沢初美氏を取材しての記事。

青葉区助産院「バースあおば」の助産師柳沢初美さんは「足を広げて体を下げるまき割りの姿勢は、赤ちゃんを支える骨盤底を鍛える」と説明。妊婦の体調にもよるので「くれぐれもかかりつけの助産師に相談してから」と話している。

かかりつけの助産師に聞けばいいの?
なんか、緩くなっていませんかね?
かかりつけの医師・産科医への相談ではなく、助産師に聞けばいいの?
だって、助産院で産むにしても、嘱託医がいるわけですから、医師がどうしてそこで出てこない?

Facebookのアンケート機能を使ったりとかして、素朴な疑問をどうにかしたい。
かかりつけの助産師に聞く、ということで構わないのですか?
患者(妊婦)から薪割りで身体作りしたいと言われたら、どう答えますか?

かかりつけの助産師に相談すれば済みますか?
…なんか、間違っていませんか?

【足の指3本失った・・・出生直後に大やけどの男の子・・2年間の戦い】

昨晩のまま、まだ家族の看病というか、インフルエンザの御陰でブログに時間が作れないのですが、個メールでご連絡くださったKさん、有難うございます。
近くブログでもまたとおもっております。

助産院や自宅出産を考えていらっしゃる方には、なかなか助産師自ら語られることのない事実として、今はこのお話を知っていただくだけでもとおもってご紹介のみになります。

ろくもじより


足の指3本失った・・・出生直後に大やけどの男の子・・2年間の戦い


足の指3本失った・・・なぜ・・・?出生直後に大やけど

今年5月生まれたばかりの赤ちゃんが大やけどをおい足の指3本を失った。なぜ事件は起こったのか、両親と男の子の2年間の闘いを追った。長男の出産は助産院での出産を考えていた父親達、しかし陣痛が早く始まり自宅での助産師による出産となった。生まれてきた男の子は呼吸が弱くかすかな泣き声だった。
4つの病院を回り・・・”重度のやけど”どこで起きた
父親は助産師の助言で男の子が浅野クリニックへ連れていった。浅野クリニックの医師はNICUに連れて行かないといけないと診断、その後男の子は秦野市にある秦野赤十字病院助産師の車で移動。この時男の子の体温は34.7度にまで下がり低体温症と呼吸不全と診断、ドライヤーなどで男の子周辺の空気を温める処置がされた。さらに男の子は茅ヶ崎市立病院へ搬送、この時父親は男の子の足が大やけどをしている事に気づいた。そして重度の火傷と診断され横浜市立大学付属市民総合医療センターへ。結果、男の子は足の指を3本切断。
足の指3本失った・・・なぜ・・・?出生直後に大やけど
男の子の靴下を脱がせるのも辛かったという父親、去年2月には男の子の足に薬を塗る父親の姿があった。父親は男の子が呼吸不全の状態が続いた事により後遺症があるのではないかと不安を抱えていた。そして去年9月、男の子はつかまり立ちが出来、11月には手押し車が出来るようになった。
「大丈夫」だけで説明なし 助産師の対応は
容態が悪くなった男の子が最初のクリニックに運ばれたのは出産から1時間23分後。その間助産師は大丈夫というばかり、行った先のクリニックは救急対応ができない施設。父親ははたして助産師の対応は正しかったのかと疑問を抱く。助産師は父親に対して適切な処置をしたと文章で回答している。去年5月神奈川県助産師会は助産師を除名処分にした。
”ドライヤー”を使って・・・加温処置は適切だったのか?
秦野赤十字病院で男の子に行われた加温処置は適切だったのか?インファントウォーマと呼ばれる器具を使用する事も考えたが別の新生児に使用されていてドライヤーでの加温処置がされた。事故調査委員会の報告書ではいずれの器具でもやけどが生じた原因とするのは考えにくいとしている。神奈川県警は捜査を開始、慎重に調べを進めている。 今回の事件について日本医科大学武蔵小杉病院の医師は新生児医療の問題点について、現場の慢性的な人材不足を指摘。
足の指を失って・・・男の子と両親 2年間の闘い
元日、親子は神社に初詣に向かった。男の子は自分の足で歩いていた。父親は息子に足の指がなくなった理由を伝える事への不安を抱えながら、原因究明が償いであり愛情であると話す。 杉尾秀哉などが新生児医療の問題点について、慢性的な人材不足は一刻も早く解決していかないとまた同じような事件が起こってしまう、事件の原因を新生児医療の為にも解明してほしいなどと話す。


この件は慢性的な人材不足だけの問題ではないとおもっていますが、今日は取り急ぎ...

「正式な嘱託契約が結べていない」でも開業出来るんですね...

先日、コメント欄にこれでさんからコメントを頂き、ブログにお邪魔して知りました>助産院:進まぬ病院との嘱託契約――そもそも必要か
びっくりです! 私だけが知らなかったことなんだと思いますが、「正式な嘱託契約が結べていない」でも開業出来るんですね...
元記事読んでもなんだかなぁとおもうんですけど、

助産師会は長年、県や県医師会に救急受け入れの締結を働きかけてきた。同会会長の高橋律子さん(60)は「今は救急をなんとか受け入れてもらっているが、もしものときの不安は消えない」と言う。

って、この感覚が私にはどうだかとおもうんです。もしものときの不安というのは、私が琴子に教わったことでもありますが、『出産というのはもしもが誰にでも起こり得ること』で、嘱託契約が出来ているから安心できることではないとおもうんです。この感覚が、「搬送出来るから助産院でも安心です」の売り文句を生んでいるわけですよね?
勿論、現状で助産院の開業が許されているわけですから、嘱託契約は最低限の条件だと思います。でも、更にいえばその正式契約が結べていない?! 何度も言ってしまいますが、信じられません。それでも開業って出来るんですか? なんか妙な気がするんですが...




私信;これでさん、ブログにご挨拶伺おうとコメントしたかったのですが、IDないとダメなんですね。そんなわけで、ご挨拶が自ブログになってしまいまして、大変失礼いたします。トラックバックも頂きました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

高齢出産を自覚する必要性

産婦人科医haruさんのブログ【産婦人科医は頑張っている。】の記事>甘く見てませんか?を拝読しました。東京の40歳過ぎの初産の女性が京都の知人頼って避難し、haruさんの病院を受診、分娩は奈良の助産院を予定するから健診をお願いしていらしたというお話です。この日のharuさんのタイトルが全てを物語っているとおもいます、甘く見ていると私は感じます。

妊娠26週の初産婦。 年齢は、40歳をすこし過ぎておられます。
子宮筋腫もあるそうですが、前の病院(助産院の嘱託の病院)からは、
助産院で分娩しても、大丈夫だろうって言われているそうです。
たしかに、ボクがみても、筋腫が邪魔になることはなさそうでした。
初期のうち病院にちゃんと通っておられました。
その病院はけっこう大きな病院で、
母子手帳に記載されている数人のドクターの名前は、毎回全部違っていました。
この方を2回連続で診察した産婦人科医はいないということです。
産婦人科医がこれまでの経過として、助産院での分娩に問題はないと判断しているようです。

でも、ボクが嘱託をしている助産院なら分娩は受け入れないだろうと思いました。
やはり、年齢が高過ぎるからです。
普通にうちで出産しても、ハイリスク分娩加算が保険請求できます。
つまり、助産院では危険だと言うことなのです。
(もちろん、これは一般論です。)

(中略)

確かに、年齢というファクターだけでその妊婦を評価するのはどうかと思います。
それだけで否定されるのは、本人にとってもつらいことなのでしょう。
しかしながら、妊娠経過は順調でも、分娩室で急変することはたくさんあるのです。
たとえば妊娠高血圧症は年齢が大きく左右する病態です。
この妊婦さんの分娩を取り扱う施設は、それなりに急変に対応できる準備や設備を整えておく必要があるでしょう。
こういった、「急変」に対して、この助産院は、どういった対応を準備しているのでしょうか?
嘱託医の意見も聞きたいところです。
また、妊婦自身があくまでも「ハイリスク妊婦」であるということを自覚していく必要もあります。
この妊婦さんも、自分は年齢的にハイリスクであることは認識しているものの、いままでかかった産婦人科医からとくに助産院での分娩が危険であるとは説明されていないということでした。

「年齢以外は、全くの正常の妊婦である」という理由で、
「多分、大丈夫」とされているのでしょう。

そして、そもそも、「助産院でお産する」ということの意味は何なんでしょう。

元々出産予定だった東京でも、高齢であることを特に注視されなかったようですし、奈良の助産院でも引き受けるということ。反対に、助産院でも年齢で断るところもある。これは同じ助産院経営者でも、意見が大きく分かれるようです。医師の方達でも、助産院で産むことに特に意見なく過ぎる方もいれば、haruさんのように意見下さる方もいる。
「危険があったら(感じたら)搬送する」とか、異常がない方限定という、このあくまでも「ちょっとリスクはある方なんだけど、大丈夫そうならやっちゃお!」っていう感じにしか私には見えないんですよね。結果で考えましょうって感じに。しかし、その結果というのが「最悪、子供の死や障害」
っていうのをきちんと言葉にされていないから、完全に勢いにのってしまうというのでしょうか。

私は40歳での初産という経験ではないから、同じようには言えないけど、同じ女性として、高齢出産という言葉を知らないで生きてきたことはないとおもうので、色々な事情から40歳まで出産出来なかった御苦労などあったとしても、年齢で区切られることに嫌悪感をそれほど抱くものなのかともおもうのです。私自身、年齢を言うのが恥ずかしいとか、年寄りにみられたくないとか、あんまりおもわないからかもしれないんですけどね。勿論、中傷するために「クソババァ!」という人は好みじゃないけど、毎日年をとっていくというのは当たり前ですから…だから、「今時の40歳は若い!」とかっていって、自然分娩推奨派の方達って助産院や自宅出産を薦めてたりしますけど、私はこのharuさんのタイトルの「甘く見てませんか?」っていうのは、この妊婦さんだけじゃなくって、高齢出産でも順調なら大丈夫だとか、そういうことを言っている方達全員に向けさせて頂きます。

あと、避難しても助産院っていうのはどうなんでしょうかね。距離も問題だとおもうけど、なんていうのかな、この方の場合、「病院じゃなくて助産院で産む」っていうのがこだわりなだけなんじゃないかな? 助産師とだって、付き合いそんなに深めないままに出産になりますよね。それでいいのなら、病院だっていいじゃない? 「とにかく、助産院」なんだろうな。

私が高齢出産だけどヨガとかやっているし、体は健康なのに管理されて嫌だったという愚痴を聞いたことをある産科医の方に話したら、
「見た目は若くても、産道が凄く硬かったりして大変なことがある、そういう体の中の硬さまでは自覚出来ないことですからね」
と教えていただきました。