天国への階段は何処へと続くか…

琴子の戒名は死産児専用のものなのかどうかを、お盆に琴子の墓地へと参る義父が、住職さんに確かめてきてくれることになった。

この住職さんというか、奥方がとても強欲な方で、琴子は死産で闇から闇へと…とうるさかった義父は、

「戒名なんていらない」

と、検討すらしてくれなかったのだが、住職の奥方が納骨の際に

「位牌を作ってあげる」

というようなことを私達に言い、実際に白木の位牌が届き、中には

「きちんとした位牌が出来上がったら取りに来てください。気持ちですから、御代は結構」

というような一文が添えられていて、凄く感動した。

そして、位牌が出来上がったからと連絡があったので、旦那と早速、取りに伺った。

その際に、本当ならば墓守をしている義父に一言言ってから行くべきだったのは承知していたのだが、琴子の葬儀から納骨まで、ずっと嫌になることばかりを言われていたので、位牌を貰うことにも文句を言われたら嫌だなとおもい、黙って出掛けた。

すると、奥方が

「義父さんは?」

と言うので、自分たちの娘のことなので、自分たちだけで来たと言うと、

「じゃぁ位牌代は…」

と言う。

? あれれ? やっぱり何かのトリックだったの? 

「必要なら、私達が支払います」

と言うことで、その場で2万円弱を請求されたので、支払ってきた。

さんざん、嫌味を言われた。

非常識なことはしないようにとかなんだとか。

おかしいな、今でもあの一文は手元にあるけど、御代は結構と書いてあるし、真に受けたのが悪いと言われるかもしれないけど、白木の位牌が届いた時に、お礼の電話を旦那がしたい際にも、直接電話口でお金の話をして、“幼い子どもを亡くした辛さへの気持ち”というようなことも言われていたし…

で、今まではこういうことがあったということも含めて、一切を義父に話していなかったのだけど、新たに琴子のためにお経をお願いしようとなり、義父が話し合ってくるということで、一応お耳に…と伝えたら、最近になって、義父達もこの奥方にお金のことでわけのわからないことを言われたとかで、

「あのばあさんなら…」

と、納得して聞いていた。


天国への入り口であるのかとおもっていたけど、お寺はお金の出口なんだとおもった。

この地上では、現世では、天国への階段は何処にあるのだろうか。

琴子の棺には絵で書いたお金を入れてあげたけど、このお寺で全部使いきってしまったのではないか?