NHK『仕事の流儀』を見て

大変忙しいく、称えられるべきは助産師だけではないのになぁ。

最初の10分を見逃してしまったのだけど、途中からNHK。

手(指)に目がついているそうです。

断言していましたよ。


本当、NHKは好きですよね、開業助産師。

特に自宅出産。

「仕事の流儀−プロフェッショナル」

今日は助産師の神谷整子さん。

以前から存じ上げています。

この方にお願いして自宅出産した方の著書も読んでいました、2003年に。

この方、私がちょっと気になってしまったのは、あれは多分、2003年の後半か2004年の頃、自分が請け負えない遠くの県の地方紙に寄稿していたんです。(その県に住む天使ママが、毎回Faxで記事を送ってれた)

助産院でのお産を推奨するような内容でした。

自分が請け負える範囲での宣伝は有り得るけど、助産院って、技術やらなにやらにこれだけ色々と差があるのに、自分はしっかりやっていますよーと言いながら、「私は受けられません!」は問題ありだろうと、寄稿していた地方にどんな助産院があるのか、神谷氏の記事を読んで「助産院や自宅で産みたい!」で出会った助産師が問題ありだというのも、十分に有り得るわけですよ。

私には無責任な行為にしかおもえない。

自分で本を書いて出版するとかならまだまぁなんていうのかな、伝えたいことも他にあると感じられるのだけど、あの記事の内容は助産院でのお産も考えようというような感じだったから、私としては、その新聞社にも抗議文を送ったのだけど、せめてその地元で開業している助産師に頼むべきだろうと。

日本助産師会にこのことを言ったことがありますが、

「神谷助産師は素晴らしい助産師です」

みたいなことしか言われなかった。

人格が素晴らしいことと行為(問題)は別だとおもう。


神谷氏は3人のお子さんに恵まれ、仕事もあり、相当に多忙な毎日で、自身の子から「いつも寝ている」と言われ、完璧主義をやめて手を抜こうと、そこで子育てを優先しようと仕事の方向性を変えて、出産をした方の家を回る仕事を選択。

そこで出会ったお母さん達の抱えるストレスを知り、手助けをしたいと…で、何故に自宅出産の伴走?


もうやめてよ、『理想のお産』を語るのは。

だから、お母さんの求めるものは『子の命』でしょ?

「どんな自分でもいい」

に会話が辿り着いていました。

ガックシ。

私は、お産は母親の欲望のためじゃない! と、あの頃の私自身へも含めて言いたい。

お腹を切るのも子供のため。

出産するのは子供を産むため。

お産は命がけ、その命を懸けるのは自分のため?

自分に「どんな自分でもいいんだよ」って伝えるためなの?

違うよ。


初産…「どうなるか分からないリスク」を抱えての自宅出産。

「やりとげた自信が育児の支えになる」というようなことですが、病院でのお産、帝王切開のお産でも、それは『踏ん張ってすること』。


東京と横浜で二つのお産が同時に行われそうになっていた…私、常々、これがわからんのです。

自宅出産の怖いところですよね。

神谷さん個人を信頼して頼んでいる方達だろうに、もしかしたら片方は間に合わないかもしれない。

ま、私のような素人に言われるまでもなく、全てを承知で請け負っているのだろうけど…

陣痛で苦しみ、不安の中の初産婦に

「私、違う人の方のお産に行ってていい?」

って、より一層、不安になるんじゃないのか?!

「行かないでください!」

って言われたら、

「そんなに弱気でどうするの?! 駄目でしょ!」

って叱るんだろうか。

この突込みに対しては、『精神鍛錬は出来上がってるから大丈夫』って言われそう…だけどぉ、それはどう?

勿論、病院で産む予定の人でも、お産の進みが速くて到着を待てずに生まれてしまうとか、結果的には一人でも生むしかないこともあって、不安に打ち勝っていくしかないことなのかもしれないけど、でもそれを正当化するのであれば、やっぱり“助産師がいる”ことにすら意味がないのでは?

だったらやっぱり、助産師も頼まずに産むっきゃないでしょうが。

やっぱり導いて欲しいからお願いしているわけなんだし。

代わりの助産師を派遣すればって、だったら病院でのお産で

「健診と出産では立ち会う医師が違う」

を否定的には言えんでしょう。

っていうか、開業助産師って、どういう計画でお産を受けているのかが疑問。

琴子のときは私たちも含め、3人が重なりましたから。


更に、『初産にしては進みが早い』。

なんだか全て適当じゃないか?

横浜の方の人は二人目だから、神谷氏が到着後1時間で無事生まれ、初産(東京)の方は別の仲間の助産師にとりあえず行ってもらって…あんだけ“早く生まれるように”と運動とか色々とさせていたんだから、早くなることも予測できるでしょう。

タクシーに乗って、運ちゃんに

「1分でも早いと嬉しいです」

何気なく言っているけど、でも、交通ルールの方が大事だよ。

ルールはルール。

運ちゃん、テレビ局にサービスは駄目だよ。

テレビ局の人も言ってよね、普段は交通事故の報道をしているんだからさッ!

意地悪を言うわけじゃないけど、運ちゃんが気を利かせて時間短縮を狙った運転をして事故を起こして、もしかしたら被害者が発生してしまうかもしれない…安全運転に焦りは禁物。

番組のタイトルにある『プロフェッショナル』を無視しないで欲しい。

それは番組内のたった一人の人にだけに用意した言葉ではないはず。

タクシーの運ちゃんのプロフェッショナル…それは、安全運転。

なんとか幸いにも初産の人のお産には間に合って、それは良かったよ。


早いね、生んですぐにいなくなっちまうんだね、助産師さん。

病院だと、24時間体制ばっちりだよ。

産んでから24時間以内の出血が怖いと聞いたことがあるんだけど、どうなんすか?


またお産を美化している。

助産院や自宅で子供や母親は死んでいないのですか?

琴子はどこで死んだのですか?

病院へ搬送すれば大丈夫なんですか?

自分が病院へ搬送を判断したことがあることとか(もしかして、全くないのかしら…?)、その結果がどうだったかとか、そういう話はないのか?

っていうか、そういう結果になった人たちへの想いとかすらないの?

私たちのような結果は、どこまでもどこまでも端へと追い遣られていくような気がする。

病院で産んでの結果なら、マスコミはきっと一緒に泣いてくれるんだろうなぁ。


生まれることは素晴らしいことだとおもう。

死んで欲しくて産む・授かるわけがない。

だから、生き続けてくれることは素晴らしい。

でも、それが自宅出産を美化することや、医療から遠退いていくことへと繋がっていくことはおかしい。

自宅出産や助産院での出産のリスクをもっと伝えるべきだ。

“リスク”っていうとなんだか軽いのかな、自宅出産や助産院での出産の危険な事態(実態)をもっと伝えるべきだ。


スガシカオをここで聴きたくはなかったよ。



追伸;

地方紙の記事内容も、今日のこの番組の放送も、琴子の友達の天使ママさんたちが教えてくれました。

辛いことだけじゃない。

こうやって、助産院で産んだことで子供が死んだ私を励ましてくれた天使ママさんたちがいるっていうのは、私には琴子がくれる最高のプレゼント。

この番組の放送を教えてくれた天使ママさんは、胎盤剥離でお子さんを亡くしていることから、お産に関する番組は一切見れないでいる。

それでも、私に電話で教えてくれた。

開業助産師の皆さん、“死産”を隠さないでください。

“母体死亡”を隠さないでください。

辛くっても続く人生を生きているのは、死んでしまった家族を悲しませたくないからです。