分娩台考
いつも貴重なご意見くださる産科医のsuzanさんからのご意見を基に、分娩台考。
suzanさん、有難うございます。
当ブログにお寄せくださりました内容を下記にコピペします。
もし、胎児の心音が怪しいとか、母体からの出血が多いとか、分娩の進行が遅いとか、何らかの異常が起きた場合、一番早く異常に気づくのは絶対に分娩台上の仰向け姿勢です。
とっさの救命処置も一番やりやすい。
そして、お産はいつなんどき「異常」になるか予想ができません。
だから私は、フリースタイルのお産が好きではありません。
医者なので、とっさの処置が送れて赤ちゃんをダメにしたくない。
赤ちゃんをダメにしてしまった、という後悔をしたくないので。
わたくしでない方々が、分娩時の姿勢をどうお考えになるかは自由です。
ただわたくしは、わたくしが請けおった(立ち会った)お産を安全に終わらせたい、そのためには分娩台が必要と思うだけです。
分娩台上でなければ安全でない、とか、分娩台上なら絶対に安全だ、とかは言いません。
自分が「この方法ならとっさの異常に対処ができる」と思える方法だ、というだけです。
そう思っている産科医は、少なくないのではないでしょうか。
琴子を出産する前、私は助産院でのお産に"理想"を抱いていました。
それらの情報源をいちいち批判するつもりはありません。
やはり、反対側の情報を得る機会を得られなかったのも私自身であり、色々と反省もしています。
ただ、それでも残念だとおもうのは、"分娩台は悪"といわんばかりの情報があまりにも多く、このsuzanさんのご意見のように、医師の方からの具体的な情報がなかなか届かないことです。
耳や目を塞いでいるつもりではないのですが…
助産院や自宅出産をすると選択する方の多くが、先日の会陰切開や、この分娩台がきっかけではないでしょうか。
『分娩台の上で産むのは間違っている』
という印象が強い。
「引力の力が借りられるから、膝で立って産むのも良いんだって」
「本当は仰向けが一番、苦しいらしいよ」
等など、『自然に逆らっている産み方』という印象を強くするばかり。
産褥熱について書いたときには、ふぃっしゅさんから衛生面について下記のご意見を頂きました。
また、医学的な清潔・不潔の観念では、床というのは落下細菌などが多いので「不潔」です。畳の上の分娩を取り入れている病院がありますが、それも抵抗があります。いろいろな人が出入りし、歩きまわり、お産ですから羊水や血液なども飛び散っている可能性があります。清掃を徹底しても、畳と言うのは十分にきれいにできないでしょうし、そう頻繁に換えられるものでもないし。院内はいつも暖かいので、ダニとかも大丈夫かな・・・と。
あー、確かにそうだなぁとおもいました。
『畳の上でのお産』−「畳の上で直に生むんじゃないよ、布団を敷くよ!」って突っ込んでくる方もいるかもしれませんね、私も琴子を畳の上に敷いた布団の上で産みましたので、正しくは布団の上でしたが、ダニは平気で飛び乗れるくらいの厚みしかないですね。
あと、最終的には助産師の誘導により、仰向けでした。
リンズ、ダンジを分娩室の分娩台の上で産みましたが、それを嫌におもう理由は皆無でした。
まぁ、子供の無事を一番にしたい私としては望んでのこと、むしろ、私としてはいつでも帝王切開に出来るように手術台の上で産みたいと願っていたくらいでしたので、分娩台なんて産みやすい台でした。
だから、あんまり嫌わないで欲しいです。
suzanさんが仰っているように、残念なことに病院で産んでも避けられない結果はあるのですけど、でも、時に『分娩台の上で産むなんて、そんな選択をするあなたは子供のことを、お産を大事にしていない!』といわんばかりの声に流されないで欲しい。
分娩台の上だって手術台の上だって、お産はお産だよ。
昔の人は、好んで畳の上で産んでいたわけではないとおもうよ。
追伸;
分娩台で検索すると、批判的なお声が多い…有名な分娩台についての本のお陰だとおもうのだけど…
分娩室が冷たい感じで嫌だとか、まぁそういうことを言ってしまっていたかもしれない私でもあるから反省も深まるのだけど、そうだったからこそ分かるのだけど、『流されないでー!』ってお願いしたい。
産み方は生き方なんかじゃないよ、母子の無事、子供の人生が少しでも生き易いように願って選択して欲しい。