こうやって、自己責任にされていく

今日は予定外に記事を書きます。
予定より大事なのが、このブログで知ってもらいたいことだったりもするので。
ふぃっしゅさん、いつも情報提供と貴重な助産師としてのご意見、有難うございます。
以下は、本日頂いたふぃっしゅさんのコメント。

助産師向けの雑誌は2社あるのですが、そのうちの医学書院発行の「助産雑誌」が「助産院の食事」シリーズを毎号掲載していて、これまでマクロビやアユールヴェーダベジタリアンなどを勧めている助産院を好意的に紹介していることは、doramaoさんの「とらねこ日誌」でも伝えてもらいました。

最新の8月号には、本当に助産師の専門誌にこのような内容を載せて良いものか大いに疑問と落胆を感じた2つの記事がありました。

ひとつは、今月の「助産院の食事」はみずき助産院が紹介されていて、その食事もゆるマクロビなのでどうかと思うのですが、疑問を感じたのは院長の神谷整子さんとスタッフのコメントです。

「食事もお産も自己責任のうえに成り立つもの」というキャプションで、「自宅出産をするということは、医療に頼らない出産を選択するということ。その厳しさをわかっているはずという思いから、健診では生活や食事の細やかな指導は基本的にしない」ということが書かれ、『自宅出産や助産院でお産をするということは、最終責任は自分で持つということ。自己責任のうえに成り立つものと意識することが、その後の育児にもつながっていきます』とコメントされています。ところがそこのスタッフの助産師は、『どれだけ食生活を理想に近づけても、やればいいといわれる運動をやってみても、当日何が起こるかわからないのがお産。(中略)医療者として、どうかかわっていくか。助産師としての役割はたくさんあるけれど・・・』とコメントしています。

「当日何がおこるかわからないのがお産」であるのに、「最終責任は自分」という矛盾。「自宅出産は、医療には頼らない」といいながら、「助産師は医療者である」という矛盾。おかしいですよね?


もうひとつは、テレビでもとりあげられたことのあるフィリピンで助産所を開いている日本人助産師の記事です。現地のお産の様子などを、連載しています。
その方自身が43歳で10年ぶりに第3子の妊娠。妊娠中に異常出血もあったり分娩に不安がありながらも、現地の医療施設でなく自宅分娩をするつもりでいたところ、予定日を2週間すぎても陣痛がこない。「この時点で自宅出産をすることをあきらめ、医療を受ける覚悟で日本へ帰国した。」
受診先の医師は彼女の自然出産の希望に理解を示し、予定日も計算しなおしてもう1週間待ち、陣痛がこなければ入院することになった。
ところが診察の翌日に高位破水。病院に行けば医療介入がされるため、「破水してすぐに病院へ行かないなんて、いくら助産師でも危険だと一部の人からは非難の声が聞こえてきそうだが、私には産後赤ちゃんと別々になることの方が納得できない」と、自宅で様子をみて約2日後に、自宅で出産。
陣痛がくるまで「私はおなかの子どもに何度も話しかけていた。『あなたは本当に病院で生まれたい?生まれたら母子異室になることも納得している?』」。

結果的に赤ちゃんも無事のようなので良かったと思いますが、予定日を2週間も過ぎた妊婦さんが海外から飛行機で帰国し、一度も妊婦健診を受けたことのない病院で急きょ受け入れてくれたというのに、前期破水でも自宅で経過をみて出産。
彼女は前号で、「『待っていれば生まれるよ』そんな言葉が聞こえてきそうだが、待つ以外に方法がない貧困国のそばで日頃過ごしていると、それは理想だと自覚する。待ち続けた結果、いったい何人が胎内死亡に至ったか?そして死亡胎児からの感染で何人が敗血症になったか?」

そこまで実感しているのに自分が選択した方法には矛盾を感じないのか驚きですし、今回の経過を公開することで普通の妊婦さんたちが「それでも大丈夫だ」と思わせてしまうことになりかねない内容です。

私は、本当に日本の助産師の中に根強くある自然志向の強さに、とても不安を感じます。皆さん、おかしいと思いませんか?

おかしいです。
まず最初の神谷助産師の記事内容についてですが、まぁ、こうやって問題のある結果への対処法は、自己責任にしちゃえってことなんでしょう。
全く酷いもんです。
更に、助産院や自宅出産は医療に頼らないということを自覚されているのならば、やはり嘱託医は廃止でいいんじゃないですか?
嘱託医の存在は助産師に優位にしか働かないような気がします。
勿論、母子のためならいいんですよ。
でも、訴訟に至った方達のお話を聞いていても、また、それ以前に改善を求めて発せられた方達にしても、『そこからは嘱託医の責任』と、助産師はあくまでも嘱託医に許された存在で、その監督の下でやっているという甘い図式が作られているような気がします。
もしも神谷助産師が助産院や自宅出産は医療から離れているという問題を、その結果で誰が死ぬかもしれないのかを本気で分かっているのなら、“それでも助産院や自宅で産むべき理由”をはっきりと表明して欲しいです。
それにより、嘱託医が必要なのかどうかも分かるのではないでしょうか。
あと、資格を医療者という枠から外すべきですね。
それだけの問題発言だとおもいます。
また、これを正式な情報として流してしまう方達も問題がありますね、意識がどうなっているのかという問題。

この発言は大問題だとおもいます。
そして是非、嘱託医が必要なのか、医療が必要なのかについてもご意見を頂きたいです。
もしも私たちの自己責任だという考え、主張が正しいままだとされるのならば、助産師会がそれを正式に表明するべきです。
神谷助産師は平成21年度の日本助産師会の総務担当理事でもあった方です、そのような方がこのような発言をしているというのは、助産師会も同じような考え、意識、知識なのかと疑問におもうのは当然ではないでしょうか。


後者、フィリピンの日本人助産師の方のお話…なんで病院を受診したんでしょうか。
出産後に母子が別々にされるのはいやだったら、子供が死んでしまいましたとならなかっただけで、話の内容は、子供の命よりも大事なのは親の思想ってことですね。
でも適度に、自分達の存在を大切におもってもらえる程度に“医療の有難さ”を語るんでしょうね。
その医療とは、決して病院ではないんです。

私信;
ふぃっしゅさん、その本、貸してもらえませんか?
買うのも癪だし…(大人気ない?!)

立川さん、そのブログのURL、教えてくださいませんか?
色々と試して検索したのですが、すぐにそこには辿りつけられずにいます。
メールでも構いません。
メルアドはこの前の記事にあります。