機関誌『助産師』の特集記事「産科における代替医療を考える」を読んで

機関誌『助産師』の最新号、4巻3号(2010年8月1日発行;2010年8月14日現在)の特集記事
『産科における代替医療を考える」
を、当ブログを通じてご連絡くださった医師の方から、コピーを送っていただき、早々に拝読することが出来ました。
有難うございます。

全文紹介したいところですが、転載できるところも見当たらず…(もしもご存知の方いらっしゃったら、私にも是非教えてください! ブログでリンク張ります)

なるべく他の方のご感想に左右されないようにとおもって、今回の特集記事について書かれているだろうブログ等は目にしておりません、これから方々を伺ってみようとはおもっています。

まず、特集内容のタイトルからですが、「産科」とされたのは、助産院や自宅出産、助産師の方たちの立場は反医療であってはならないという意思表示と受け止めてよろしいのですよね?
助産における」ではないんですもんね?
後にある岡本さんのご挨拶に色々若干突っ込みつつ…


特集のトップは

大野智氏(埼玉医科大学国際医療センター)寄稿
です。
リスクマネジメントの話は必要におもうし、これからも毎号是非にとおもいます。
ただ、医療と区切られる前に、助産院や自宅出産の実態がないというか…かなりきちんとした助産師の方にはあてはまることなのかもしれませんが、これ以前の問題を持つ助産師の存在が問題なんです。
しかし、きっときっと、この機関誌を、この記事を問題を持つ助産師の方たちも読んでくれていると信じて…

とおもえたのは上記まででした。

今までの流れを変えられないというか、「これってもしかして、前号からの流れとちゃうの?」と突っ込みたくなるような…

  • 妊娠・分娩・産褥期におけるマイナートラブルに対する鍼灸療法

矢野忠氏(明治国際医療大学鍼灸学部)、安野富美子氏(東京有明医療大学保健医療学部)寄稿 

…これは鍼灸の紹介でして...経穴の紹介、それも図まであって、
ホメオパシーは駄目だけど、鍼灸ならいいよ」
ってことなのかな…まだこういう話は早くないか?
まずは、どうして西洋医学を受け入れられなくて東洋医学に妄信していくのか、そういうところから徹底してやってくれないと駄目じゃないですか?
なんか違うよなーとおもいながら、

次は

吉田紫磨子(産後セルフケアインストラクター/NPO法人マドレボニータ 理事)寄稿
です。
マドレボニータとはスペイン語で『美しい母』を意味するそうで、NPO法人マドレボニータというのがあるそうです。
記事にはヨガボールにまたがって運動を習っている様子の妊婦さんたちの写真もあって…もう何を言いたいの?!
全く意図が分かりません!!!
はぁ? これって、VK2訴訟から何を考えたの?
私もド素人ですけど、ここまで酷い展開は考えられないですよ。
サブタイトルに『自分の体の専門家になる』ってあるんですけど、こういう言葉に何を込めているのか…
助産師の説明責任はどこいったの?
あと、ヨガボールでしんどいことになったという方のお話が以前にありましたので、こういうことを安易に薦めてもいけないのではないかとおもいました。
紹介している方は安易なつもりなんてないんでしょうけど、リスクマネジメントに続くべきことかと疑問におもいます。

次は

です。
渡辺愛氏(渡辺助産所)寄稿
記事からすると、この方は

英国最大のホメオパシー専門学校Centre for Homeopathic Education(CHE)に入学し3年間勉強しました。

とありますが、後に

ホメオパスとして特に協会に所属していませんので、開業し患者のコンサルテーションうぃ行うという行為はとっていません

とあって、しかし、希望に応じて妊婦さんにレメディを渡していたそうです。
特に協会に所属していないというのは、今回大きく問題となっているホメオパシーの団体と関係のないホメオパシーもあると言いたかったのかな?
でも、最後に

先日、尊敬する助産師でホメオパスの大先輩が他界しました。とても悲しい出来事です。

とあるので、これは先日亡くなられた鴫原操助産師のことでしょう。
故鴫原助産師の言葉を用いられています。

助産師として一人前の自信がないものが、それをホメオパシーなどの代替医療で埋めようとしてはいけない」とおっしゃっていました。

とありますが、これは疑問を感じます。
鴫原助産師が熱心にホメオパシーを薦めていたということは他からも聞いていますし、そもそも、一人前の自信がない方が開業してはいけないし、一人前だと自他共に認められる方がいるとしても、代替医療を薦めて妊婦の止血を図ったりしていたら駄目なんじゃないでしょうか。
この話は先日こちらのブログにコメント欄でご意見くださったばあばさんのお話から得られる情報です。
今回のこれらの記事は、助産師会が反省というよりも言い訳をしているとしか見えません。
また、鴫原助産師が問題となっているホメオパシーの団体と関係が深かったことは、助産師会がこれからも自浄していくうえで大きな課題とするべきことですから、いくら故人になったとはいえ、こうやって後になって「こう言っていましたよ」と出すのはおかしいとおもいます。
勿論、鴫原助産師一人に責任を押し付けるようなこともしないで欲しいです。
この方のご意見や活動を支持したのも、助産師や助産師達なんですから。

この特集記事にこの内容は確実に不適切な内容だったとおもいます。
問題を軽視しているようにしかおもえません。
今必要なのは、ホメオパシーの歴史だとか他の団体なら違うとかではなく、どうして民間療法、代替医療助産師たちは助産院や自宅出産、その後の育児で多くの女性達に熱心に薦めるのか、その問題にある背景にまで迫って貰わないと、次にまた別の形で子供が死ぬでしょう、母体に異常を残すでしょう、子供が生き難い状態を生むでしょう。

最後に

早乙女智子氏(神奈川県医師会神奈川県立汐見台病院産婦人科)寄稿
私からすると、結局は病院での分娩台のお産を否定している内容なんですよ。
わかります?
結局、医師が悪いっていうことなんだとおもうんですけど…他に読まれた方でそう感じられた方はいらっしゃいませんか?
私がおかしい?
本当に呆れました。
代替医療を求めるのは、医師たちが過剰医療介入をしていたからだということで、これって結局、誰の責任だって言っているんでしょうかね?
どうしてこの内容なんですか?
岡本さん、今、この意見が重要ですか?
結局は、自分達の問題ではなく、こういう社会を生んだのは、医師たちの問題だと言っているようにしか私にはおもえないんです。


ですから、『産科における代替医療を考える』というのは名ばかりの内容だったというのが感想です。
寄稿された方というより、依頼した側の問題を感じます。