“看護師の資格のない助産師”

助産師の権利、業務拡大の問題もありますが、そもそも助産師の資格の有り様にも問題があるようです。
2005年9月5日記で、当時の(社)日本産婦人科医会会長、坂元正一氏が『産科における看護師の業務 産科における看護師等の業務について』という意見書が発表されています。看護師の内診問題へのものですが、私が驚いたのは

厚生労働省は、社会保障審議会医療部会より医療提供体制のあり方の検討の結果、看護師等の名称独占、届出義務及び看護師資格を持たない保健師助産師による看護業務等が検討すべき論点の一つとの指摘を受けた。

とあって、ん? 看護師資格を持たない保健師助産師?! あれ?? と、目を疑ったのです。今までは助産師になるには看護師の資格を取ってからとおもっていたけど、どうやらそうでもないらしい。それで、勤務助産師のふぃっしゅさんに伺いましたところ、
坂元先生のその報告の冒頭に「看護師資格を持たない保健師助産師による看護業務等が検討すべき課題」と書かれています。
これは、以前もネット上でも話題になっていた記憶がありますが、4年制大学で助産師課程をとった人で、卒業時に受ける看護師と助産師の国家試験のうち看護師のほうに落ちた人が(たぶん複数)今までいるらしいです。
助産師の国家資格は取れても、次年度の看護師国家資格を取るまで保留にするかどうかということでした。
で、看護師の資格がなければ臨床では働けないはずですが、そのままになったのか。通常の病院では採用されないでしょうから、助産院で見習いのように働いている人もいるらしい・・・と、これはうわさですが。

また昭和20年以前に助産婦の資格を取った人は看護婦の資格を有していなかったのですが、この場合には、短期間の研修などによって新制度に組み込まれてそのまま助産婦として働いていました。大半はもうすでに引退している世代ですね。でも、もしかすると現役で働いている人もいるかもしれないですが。

以前の専門学校制だと、必ず看護師の国家試験に受かってから助産師学校に進んでいたのでそういう問題はなかったのですけれどね。
大学制になるとこういう助産師の試験だけ受かる人が出てくるので、今後の課題だということが書かれていたのだと思います。
ということでした。そういえば、時々助産院のサイトでお手伝いの人がいたりしていますが、特に資格の表記もないし、あの方達?! なんてちょっとおもったりしました。
また、大学で助産師教育にも関わりのある教授の方にも伺いましたところ、やはり2年ほど前に問題として存在していたが、どのような決着を迎えたのかが記憶にないということでした。

…どなたか、どのように決着したのか、実はまだ決着していないのか、ご存知の方いらしたら教えてください。

今回の意見書にはこれ以外にも気になること、勉強になることがありました。

それでは「助産」とは何であろうか。残念ながら保助看法では定義されておらず医療とは捉えていないのである。すなわち自然に経過した分娩の介助と付随する世話を助産と考えている。保助看法第3 条により助産助産師の業とされているが、ひとたび妊娠経過中から分娩経過中に異常(母児の健康を損なう状況)が発生すれば、同法第38 条により管理は助産師の手を離れ医療の範疇に移行し医師の管理下に入る。

医療とは捉えられていない、あくまでも自然に経過した分娩の介助と付随する世話を助産としていることを理解して得たはずの資格で、更に会陰切開や縫合等をしたがるというのは、どうしようもない勘違いってことですね。他にもあるので、後日改めます。