「助産師の会陰縫合術」について、厚労省に聞きました

もう先月になってしまうんですね、早い…
2月28日に厚労省に電話して「助産師が会陰縫合をすることについて、平成二十二年厚生労働科学研究費補助金事業において、試行と検証を実施しているそうですが、詳細はなんですか? 研究要旨を教えてください」と質問しました。担当は看護課の女性の方でした。
この研究は平成22年からの2年の計画だそうです。
研究の正式名は『チーム医療の推進における看護師などの役割拡大・専門性向上に関する研究』です。この中にいくつかの班があり、その中の一つだけに助産師のこの会陰縫合術についてがあるそうです。
何故、このような研究がなされるのか…その理由は「産科医不足」のためだそうです。これは以前にも当ブログにこの理由から「今の状況から仕方ないじゃないか」というような意見がありましたが、他の方からは「会陰縫合が出来ないで困っていて、助産師に頼みたいという状況ではない」というご意見の方が多かったです。
産科医不足の問題をフォローするのが何故、助産師の縫合術になるのかはかなり疑問ですが、既にこの研究が始まって、1年経つわけです。助産師教育課程として、試行授業として学校でも取り入れているところもあるということを聞いたら、「必須ではない」ということでした。
現段階、傷の深さがどのくらい深いところまで出来るかなども研究している」ということも言っていましたので、もう「出来る」前提のようだというのは確実でしょう。
本日先に書いた『助産師の新たなる野望?>スメア採取』にもあるように、試行どころかどんどんと「やっていいんだよ」の方向に走っています。
とにかく“研究中ですから”が常に盾となりまして、具体的なことは話せないそうです。(しかし不思議だなぁ、どうして秘密にするのだろうか、企業じゃないんだから、競い合うことじゃないのに)

助産師には勤務して医師の監督下にある助産師と、開業している助産師がいる。この研究の結果、助産師にも縫わせて良いとなったときに、開業している助産師にも権利を与えられるのか?」と聞いたところ、様々な事情を想定して、どのような環境でなら可とするか、研究結果で開業助産師にも任せられるとなれば、許される行為となるということでした。医師の方の中には「勤務助産師対象でしょ?」とおもわれる方もいらっしゃるかもしれませんが、私はこの回答から、「やはり開業助産師も該当者だ」と感じました。だって、勤務している助産師の方からは「医師の方が縫合出来ないほどの状況は感じられない」というご意見がありましたから、この権利(業務)拡大は開業助産師側の方が求めていたのではないかとおもえてならないです。だから、開業助産師はやってはならないというような線引きは最初から有り得ないとおもっています。

また、学校で縫合の授業を受けてきた新人助産師と、授業を受けていない既に社会に出て活躍している助産師で差別できるのかと聞いたら、既に社会に出ている助産師にも出来るようになるシステムなども研究しているそうです。

会陰切開は論じていないということです。(でも、パブコメには入っていましたよね?)しかし、「縫合するのには当然必要なことですから」ということで、麻酔は考えているそうです(っていうか、きっともう研究していますね、“考えている”という言い方でしたけど)。
これらから考えられる問題は同時に考えていますよっていう感じで言っていました。

これ、関係あります?>CNS教育と何が違う?―特定看護師モデル事業に質問集中
読んでいると、「助産医」ランプが点滅します。
厚労省の方も、「産科医の不足を補うのに」ということを何度も仰っていましたが、産科医不足を立て直すのに助産師が会陰縫合をする必要がどれほどあるのか、実際に現場の産科医の方や助産師の方にきちんと事前に聞かれたのでしょうか。すごく気になるのは、「協力してくださっている産科医の方もいます」という言い方に「複数」ときちんとつけられていたことです。なんか、反対意見はありません!みたいな感じでした。どうなんですか? 産科医の皆様。そして、勤務されている助産師の皆様。「あぁ、ここで助産師さんが縫ってくれたら助かるのに!」ってことや、「あぁ、ここで私(助産師)が縫えたら良かったのに!」ってどのくらいあることなんですか?

2年の研究なので、今はその途中らから何も公表することがないということです。可能性としてゼロではないのが、途中経過を報告することが何かであるかもしれないけど、確実ではないということ。あと、2年の研究成果で「更に研究が必要」となれば、研究を続けるそうです。2年の研究の中で、「助産師が縫うことによる事故発生の確率」とか、そういうことをきちんと想定したりしているんですかね。疑問です。
開業助産師が「暗がりで産むことが理想」としたりしているのに、そこで縫うとなったら急にライトをしっかり照らしてしっかりと縫えるのでしょうか。ちょっと、開業助産師を該当者として外していないところからして、完全に暴走だとおもいました。あと、仮に開業助産師が該当者から外されるとしても、勤務助産師歴何年で、その中で医師の監督下でしっかりと実践した症例が何例以上なら可とかは有り得そうな気もしました。

最後に、厚労省の方に「私は助産院や助産師の問題をブログで書いているのですが、この電話の内容も書きますので」と伝えたら、一旦上司に相談されて、「これはまだ研究途中のことですから、文章では出していないことですのでちょっと」と、書くのは困るモードなので、それはおかしくはないですか?と聞き直したら、「ではどうぞ」という感じでしたが、どうして秘密なのかがさっぱりわかりません。産む側の私たち一般人にも凄く重要な問題ですよね? 散々、助産師の方達は「会陰切開はしないでも産める」とか、そうやって私たちを脅かしてきていたとおもうんです、なるべく医療が介入しないようにといわれてきました(だから、助産院や自宅出産がいいのだという理屈でしたね)。私たち産む側は、この問題を考えるべき立場にいないと厚労省はおもっているのでしょうか? パブコメの意見募集にしても、寄せられた意見を「参考にします」程度で、あれも一体なんだったのか。

今日はここまでになりますが、まだ関連した問題がありまして、ある方からも御意見頂いたりしているので、後日改めます。