これから助産院や自宅出産を計画・予定されている方必見!

ご紹介させていただく新小児科医のつぶやきのYosyanさんが書かれた内容を、これから助産院や自宅出産しようと思っている方、実際に既にされていて、近くの方に薦めている方には読んで欲しいです。
奈良の母体搬送の統計とこぼれ話

実は調べてみたら、正直なところ「だからどうした」程度の結果しか出なかったのですが、ちょっとだけ別の興味引くような数値があります。母体搬送数は出生場所による分類がされているのですが、なんとなく助産所の母体搬送数が多いような気がします。なんとなくでは良くないので、人口動態統計から確認してみます。ただし確認できたのは2005年と2006年分だけで、それ以前は掘り起こせませんでした。

診療所クラスでは対応に限界がありますから、そこから玉突きで母体搬送に至ったケースも確実に含まれている可能性はあります。もちろん助産所で対応できる医療範囲と、診療所やさらには病院で対応できる範囲は桁違いですから、助産所の方が比率として高くなるのは当然といえば当然です。それでも分娩取扱い20〜25件に1件程度で母体搬送が発生するのは素直に「多いな」と感じます。

「その他」はともかくとして、「自宅分娩」で医師が立会い者である比率が案外多いのにまず驚きました。他の都道府県のデータまでチェックしていないのでなんとも言えませんが、どういうケースであれば医師が立会い者になるのだろうです。あえて考えられるのは、


助産師による自宅分娩中に医師の応援を頼み、そのまま自宅で出産した。
助産師も頼まず自宅分娩にトライしたが、最終的に医師を呼んだ。
産科医にも自宅分娩に協力するものがいる。
助産師にも頼まず自宅分娩に成功したが、出産証明書で困り医師を呼んだ(ないし医療機関に連れて行った)。
産科医療機関で分娩予定であったが、間に合わずに自宅分娩となった。

自宅分娩での医師の立会いもあれこれ考えられるのですが、個人的にもっと不思議なのは「助産所分娩」での医師の立会いです。これが結構多いのです。2005年なんて210人中35人ですから、6人に1人ぐらいは医師の立会いになっています。その後も1割程度は医師の立会いになっています。助産所での出生ですから、医師が常駐しているはずもなく、どう考えても分娩のある時点から医師が呼ばれ、最終的に分娩に立ち会ったとしか考えようがありません。

だって分娩時の裂傷が強くて産科を受診したにしても、分娩の立会い者は助産師のはずですから、やはり分娩時に医師が呼ばれて立ち会った以外のシチュエーションを考え出すのが厄介です。統計に出る資料ですから、私が考えているような事情とは別の事が起こっているのかもしれませんが、「どうなっているのだろう?」とちょっと興味を持ちました。御存知の方は情報下さい。

全く的外れだと自覚しながら...昨年の夏の24時間テレビの件の折、日本助産師会の方が「無介助分娩に強制的に立ち会わさせられる開業助産師」の話を聞きました。まぁ、無介助分娩する人たちでネットワークありますので、そこでこういう風にして出生届けを得ると良いというようなアドバイスもあって、同じ手口が増えていくのでしょう、開業で自宅出産・出張している助産師を先に調べておいて、分娩始まったら呼んで、強制的に立ち会わせるっていうわけですね。確かに酷いもんだとおもうけど、さんざん「助産師は見守るだけ」だとかって出産を甘くしてきた責任もあると、私はそうもおもいますけどね。

助産所統計

自宅分娩のうち、どれほどの数が助産師による分娩かは不明なんですが、助産所での分娩の減少の幾分かを自宅出張による分娩で補っている事は考えられます。そう考えると開業助産師のトレンドが助産所分娩より自宅分娩にシフトしつつあるとは見ることが出来ます。なぜか助産師による分娩が大好きなマスコミが、ポロポロと自宅分娩礼賛を行なうのも、こういう流れに沿った可能性はあるかもしれません。

「正常産のみ」ということで、自分が請ける人には異常はほぼ有り得ないと信じ込める心と、設備投資、管理のことを考えると、更に出張費で経費はあまり必要なくなることもあってだとおもいます、自宅出産に移行しているのは事実だと思います。

19大都市の方がやや多いですが、大都市部のみに大きく偏在している訳ではなさそうです。これ以上細かい偏在のデータを出すのは体力と集中力の限界であきらめますが、助産所は郡部において消滅し、都市部に生き残っていると統計は語っていると考えます。

嘱託医、提携の問題からしても、田舎での開業は難しいとおもいます。それなので、最近、ツイッターで「自宅出産を選べない都会人はかわいそう」的な発言があったので、その方はあんまり現状を知らないのだろうなぁとおもったのと、田舎で自宅出産ってことは、無介助の可能性も高いとおもいました。

もう一度言っておきますが分娩の現場で重要なのは母体及び児の生命です。だから「危ない」と判断したら、助産師が産科医の救援を呼ぶ事自体は悪い事ではありません。むしろそうすべき事です。下手に頑張って悲劇を起こすより遥かに良い行為です。ただデータが示す通り、これだけの産科医の助力を得て助産所の分娩が成立している事を知っておいても良いと思います。

もう少し言えば、産科医の24時間365日の支援がなければ、その分娩がどうなっていたかを考えるべきかと思います。助産所は時に「やばくなったら丸投げ」の悪評もありますが、その丸投げを受けたり、さらには呼び出しに応じて助産所での分娩に協力してくれている産科医の存在無しでは、どんな世界が待ち受けているか想像すべきだとも思っています。

※強調しているのは私、琴子の母です

S式セレブ・クリニックY風味
助産所統計2

集計に苦労した割りには反応の悪いシリーズでしたが、個人の興味ですからこれも御了承下さい。集計に苦労したのでボツにするのはあまりにもったいないぐらいのところです。

とんでもない、とっても有難いことです。今後何があっても、ボツらないでほしいです。当ブログへもコメントくださっていて、ご紹介したいとおもいながら数日を過ごしてしまいました。
数字で伝わることは、もしかしたら信じ切ってしまっている方にはあまり届かないこともあるかもしれません。更に、この数字に含めてもらえていない小さな命があるかもしれません。今の日本の社会でどこまで可能かわかりませんが、“闇に葬る”ことはされているような気がしてます。

PROM、双胎、non reassuring fetal status、骨盤位、臍帯下垂等を認めても助産所において対応しようとする施設もある。たとえば、分娩時に骨盤位であることが判明しても、開業10年以上の34人中18人(53%)、開業10年未満の6人中1人(17%)は母体搬送の判断基準とはならないと考えているという。

いやぁ本当、いい加減にしてほしいですね。「私はまともな開業助産師です!」って言う方がいらしたら、一緒に怒りましょうよ、こんなことまだしている助産師がいるっていうのを、一緒に訴えていきましょうよ。仲間意識ではなく、胎児が強要されるリスクへの問題意識を高めてほしいです。

昔のまま、自宅出産の方が良いと当時の母親たちがおもっていたら、グラフの曲線や数字が今とは違っていたはずだと思います。

Yosyanさん、有難うございます。