何故、日本の助産師には“自然分娩至上主義”が多いのか-2

メイさん、ふぃっしゅさん、コメント有難うございます。早速ですが、メイさんの教えてくださったお話から更に考えていきたいとおもい、記事にしました。

先に補足として。メイさんが教えて下さる内容は、あくまでもメイさんの体験を通してのことですので、「今は違う」というご意見もあろうかとおもいます。そういった場合、メイさんを否定するのではなく、違うご意見として教えてくださると有難いです。まぁ、要らぬ心配かもしれませんが、時折、“攻撃したい”が主な方がご登場くださることがありますので、経験上、ついつい、先に申し上げるまでです。そこをご理解くださった方のみ、ここから先をお読みください。どうぞ宜しくお願いいたします。


私のような専門教育を受けていない者が言うのもなんですが、気になったところをあげさせてもらいたいとおもいます。

日本では、看護資格を持った者(看護大学ではその限りではありませんが)が1年間の教育を受けて、その上で国家試験に合格することで資格を得ることができます。実習で義務づけられている分娩件数は10件ですが、最近では4件くらいでも卒業させてもらえると聞いたことがあります。
一方イギリスでは、看護資格を持つ者なら1年半、持たない者なら3年の大学教育で、国家試験はありません。実習と学内での学習は50%ずつです。実習においてこなさなければならない最低限の項目は、分娩見学10件および実施40件、妊婦検診(エコーではなく腹部の触診で胎児の向きを確認する)100件、産褥検診(母児ともに)100件、正常を逸脱した妊産褥婦の看護40件です。

まず、卒業までに要する分娩件数が
実習で義務づけられている分娩件数は10件ですが、最近では4件くらいでも卒業させてもらえると聞いたことがあります。
という箇所です。この減らしてもらえることがあるのが事実だとしたら、どういう理由からなのでしょうか。もしご存知の方いらしたら是非、教えてください。
減らされないで件としても、イギリスでの内容

一方イギリスでは、看護資格を持つ者なら1年半、持たない者なら3年の大学教育で、国家試験はありません。実習と学内での学習は50%ずつです。実習においてこなさなければならない最低限の項目は、分娩見学10件および実施40件、妊婦検診(エコーではなく腹部の触診で胎児の向きを確認する)100件、産褥検診(母児ともに)100件、正常を逸脱した妊産褥婦の看護40件です。

と比較するだけで、日本の方が圧倒的に数が少ないとわかりました。あまりの差に驚くばかり。国家資格の有無が日本だと大きく左右するけど、本当は経験の差なんだろうなぁとおもったりしました。エコーは日本だと診察となるので、助産師の方は本来、許されない行為となる故に、何かそういう点での、元々の要不要の差もあるのかもしれませんが、それにしても、内容の在り方からして違いを感じます。

一方日本では、記録はもっと感情的なものが多かった気がします。
「私はこう思いました」とか、「このようにしていきたいと思います」とか、「思う」という言葉をよく使った気がします(私は専門学校出身なので、大学での教育は違うのかもしれませんが)。ですので、こちらで小論文を書く時に、最初はI think・・から始めてしまって、実習担当の助産師に「あなたがどう思うかなんて誰も興味ないわよ。根拠のある事実だけを書いて」と言われたのを覚えています。

強調させていただいた箇所は、このブログの外でもよく感じることでもあるので、ついつい...そして、ズバリって気がします。これ、助産院や自宅出産で事故にあったお母さんたちの多くが感じることのような気もします。ちょっと視点が違ってしまって脱線しますが、目の前の助産師は何故子どもが死んだのか? それについて語るのが「運命だった」などと勝手に断言してくれますが、実は自分がどうおもっているか(どうおもわせようとしているか)なんですよ。

実習病院では、学生一人一人に担当のメンター(入学から卒業まで継続してその学生を指導する役割の中堅助産師)がいて、実習記録の評価や、その学生の助産師としての適正を見極めます。大学の教員は実習にはついて来ません。学生はグループ単位ではなく個人で各病棟に割り振られ、スタッフに混ざって行動します。メンターが不適正だと認めた場合は、その学生は退学になります。
一方日本では、実習はグループ単位で、教員が一名各病棟に学生とともに配属になります。実習記録を最終的に評価するのは病院のスタッフではなく教員です。

教員がダメとかじゃなく、ただ、現場を知っている、現実を知っているのはメイさんのくださった言葉を借りると、メンターの方ってことですよね? 一緒に動いて、実際に指導をしている人の評価こそが真実って気がします。

総合的にどちらが大変だったかというと、精神的には日本の方がきつかったと思います。なんというか、寝ないで実習、寝ないでグループ研究、死に物狂いで頑張れ、みんな仲間だ助け合おう、みたいな雰囲気でした。私はクラスで最年長(当時29歳でした)で、あまりなじむことができず、適度な距離を置いてしかつきあうことができずに終わりました。
でも、総合的に見て、学習や実習の内容は、イギリスの方がずっと濃かったです。知らなかったことがたくさんありました。日本で私は何を学んできたのだろうと、自分で自分にあきれました。

日本の方が精神的にきついっていうのは、妙な連帯感でごまかすところもあるからでしょうか。これまたブログ外でも感じることですが、協調性を履き違えていて、意見しにくい状況を保持していますよね。意見の対立を“喧嘩”としか表現出来ないというか、そういうところがある。もったいないなぁっておもうことがよくあります。

イギリスでは国家試験はありませんが、大学内において実技試験があります。どこの大学も基本的には同じカリキュラムなので、これはうちの大学だけではないはずです。試験内容は、緊急時の処置です。肩こう難産、分娩時出血、逆子分娩などの項目から1つと、新生児蘇生術は必須でした。とるべき行動を口頭で説明しながら実技を行う試験です。誤解のないように明記しますが、いずれの処置も、まず最初に「助けを呼ぶ」とあります。つまり、医師を呼ぶのが必須ですそれでも、万一の時のために助産師も知っておかなければならないというスタンスのもので、医師を呼ばずに対応するというものではありません。実際の現場では、医師が次にどんな指示を出すかが予測できるので、より速く動けるというメリットがあると思います。

あぁ、この強調した箇所を、すぐにでも誰か、報道してくださいませんか? この意識が大きく違うとおもうんです。どうも日本の、特に問題のある助産師の方の発言からは『医師を頼るなんて敗北!』というのが感じられてならない。だからなるべく搬送しないようにしていたり、まぁ、現代における助産院や自宅出産というのも、『医療(医師)から離れる』ということの表れのようなものでしょうからね。

日本では、緊急時の対応を習った記憶がありません。教科書上では説明程度はあったのでしょうが、実技はありませんでした。ひたすらに会陰保護の大切さを教えられた気がします。しかも、「東大流は左保護、日赤流は中央保護」とか、学校によって流派みたいなものがあって、それこそ根拠だとか研究結果だとかというものには、まったく触れられませんでした。そしてそれを、私はまったく不思議にも思いませんでした。

やっぱり...やっぱり、会陰保護が重要課題であったんですね、だから、助産師の方たちは会陰切開こそが悪! という意見になっていたんでしょうね。そして、流派まであるんですね。
そして、緊急時の対応を習った記憶がないということ、もしかしたらあったかもしれないけれども、記憶に残るほどの濃い内容ではなかったということでもあるのかもしれませんね。

ざっと思いつくままに書いてしまいましたが、何かの役に立ちますでしょうか?私個人は、日本の助産師学校で直接的に自然分娩至上主義を習った記憶はないのですが、思い返すと、講師の個人的な意見があちこちに反映されていたと思います。ですから、自然分娩至上主義の講師の元で、しかもみっちり一年間精神的に辛い状態で仲間意識を育てていけば、同じような助産師が育つのは自然な結果かなと思います。

とんでもないです、とても有難いです。
私は『自然分娩至上主義』というのは、私たち一般人もいつの間にかに洗脳されていることなので、助産師になる方たちだけへの教育が問題だとはおもってはいません。テレビを見ていても、無条件での医療批判に始まり、雑誌や書籍は『マクロビオティック』『オーガニック』『スローライフ』『ホメオパシー』、そして民間療法を紹介するものが多くあり、そういうのを好むようにと情報を偏らせている何かがあるとおもえてならないです。そういう下地が出来た状態で、更に自分の持つ世界へこそ導きたい人が待つような世界(教育)であるならば、洗脳されない方がおかしいほどでしょうね。私自身、自分のことを当時、『自然分娩至上主義』であることをおもったこともありませんでした。そんな客観性は持てずにいたことも問題なのですが、それにしてもです、助産師の方がその肩書き、資格を持った上で「素晴らしい出産は畳の上だ」などと言うのですから。人のせいにしてばかりでもいけないんですけどね、やっぱりそういうことにその場できちんと考えて見直すことが出来なかった私自身が悪くもあるのですが。しかし、その結果で失ったのが琴子、自分の子どもです。こういうことを予測出来る、しているはずの助産師の責任は、やはり重くあるべきです。


現役学生の方からも現状を教えていただけたら幸いですし、何年前のことであろうとも、助産師の方たちの教育内容を教えていただけるのは、私としてはとっても有難いです。勿論、日本、イギリス以外の国のことでも。


メイさん、もう一つお願いしてもいいですか? ふぃっしゅさんのご意見にもあった質問へのご回答も頂けたら幸いです。

またメイさんの最初のコメントで、民間療法をしたら罰せられるという点が興味深かったです。
ホメオパシーで赤ちゃんが亡くなっても、看護協会も助産師会も何も動かなかった。
メイさん、是非、お時間のある時に助産師と代替療法について、あるいは職業倫理についてイギリスの情報を教えてください。よろしくお願いします。

ホメオパシーはドイツ発祥のものですが、イギリスでも人気が高いと言われています。メイさんがご存知のことありましたら、是非とも教えてください。勿論、ホメオパシー以外のものでも、何か参考にさせていただけることがありましたらお願いします。




琴子やお友達の天使ちゃんたちの死を大事におもってくださる方がこうやって居てくださって、有難くおもいます。
皆様、これからもどうぞ、宜しくお願いいたします。