名は体を表す

どうして『琴子』なのか。

画数でみても、うちの苗字とはあまり相性の良い名前ではないのだけど、何故だか私は琴子がお腹の中にいるときから、

「女の子なら琴子」

と明言していた。

旦那は頷きつつも、まぁ生まれてから考えようやというような、そんな感じで待っていた。

男の子だったら旦那が決めることにしていた。

私の中にも候補がいくつかあったけど、早い者勝ちでもないんだけど、『女の子だったら琴子』と宣言してしまっていたから、男の子の場合は譲ろうという気持ちだった。


じゃぁ、どうして『琴子』なのか。

別に私は特別に音楽が得意なわけでもないんだけど、いつの日からか、琴という文字や音が好きになっていた。

そのまま、“琴子”という名前も好きになっていた。


名は体を表すという。

琴子は生きていたら、音楽が好きな女の子になっていたのだろうか。

しとやかな振る舞いをする女性になっていたのだろうか。

着物なんかを粋に着こなしたりしていたのだろうか。

それとも、反動で、日本よりも海外に生きる子になっていることもあったのだろうか。

生きていたら、私は何度、あの子の名を口にしていただろうか。


名は体を表すという。

天国でも琴を奏でることは出来るのだろうか。

琴子は天国で、音楽の好きな子になっているのだろうか。

やんちゃなのだろうか、しとやかなのだろうか。

外国のお友達とも遊んでいるのだろうか。

私が何度も呼ぶ声を、天国でも聞いていてくれているのだろうか。



名は体を表すというのだから…