胎児の異常−骨盤位

以前にここで紹介したX医師から届いた資料より…


骨盤位は妊娠7ヶ月で約30%、妊娠8ヶ月で15%、妊娠9ヶ月で6〜9%、正期産(37週0日から41週6日)では3〜5%。

更に殿位(お尻が下)が70〜75%。

足位は20〜25%。

膝位(膝が曲がり、両膝が一番下にある立ち膝状態)は1%前後。

膝位の1%という数字だけを見ると、滅多にない話のように感じてしまうけど、誰にだって起こり得ること。

ちなみに琴子は足位。

正期産での骨盤位が3〜5%と、既にぐんと少ない数の中にいて、更にその中でも少ない方に入っていた。


資料を読み、X医師と電話で話し、骨盤位の分娩についての具体的な説明を受け、いかにお産が怖いかをあらためて感じるばかりだった。

臍帯脱出についても、ある天使ママさんのお話で聞いていたから初めて聞くことではなかったけど、骨盤位の経膣分娩で起こり易くなることや、そうなった場合の緊急の対応の話を聞き、いかに危険なお産をしていたのかと、今更でも身が凍った。

助産院ではまず無理だって、つくづくおもった。


再び資料から。

『骨盤位分娩時の周産期死亡率は頭位分娩児の4〜10倍と報告されている』とある。

要因は様々で、未熟性も含まれているが、あきらかに予後は悪いともある。

頭位分娩に比較して、骨盤位では子宮内胎児死亡が16倍(!)、胎児仮死が3.8倍、臍帯下垂が5〜20倍(!)、分娩外傷は13倍増加ともある。


数字の羅列をみていても、子供の命がいかにはかないかを知るばかりで、逆子を直すと豪語しさらには「逆子の方が簡単だ」と言い続け、琴子のことがあっても反省せずに、去年にも逆子直しを請け負っていたH助産師の酷い認識、それを放置したままの助産師会の姿勢、同県内の助産師たちの関係を呪うばかりだ。


じゃぁ帝王切開が必ずしも安全かといえばそうではない。

帝王切開にも当然リスクが伴う。

経膣分娩にはないリスクが生じる。


骨盤位で足位となった場合、助産院でならば言語道断、即刻病院への搬送する責務が助産師にはある。

そもそもが骨盤位は異常分娩だから、助産院では扱ってはいけないのだが、とにかく扱ってしまったとして、足位は危険性が増すので、最初から病院であったとしても、すぐに帝王切開が出来る体制下で扱わなければならないお産なのだ。

琴子のことも、足からだとわかった時点で、Hは病院へ私を搬送するべきだったのだ。


X医師は自分の病院内で行う母親学級において、必ずこれら危険な場合を想定した話をしているそうだ。

「あなたたちは知らなくても当然、それを教えるのが私達医師の義務」

と何度もそう言って、無知だった自分を責める私を慰めてくれた。

なんと言われても私は自分を責めてしまう。

でもただ責めるだけじゃなく、同じようなことが繰り返されないように伝えていきたい。


付け加えて助産院でのVBACについても少し…

VBACは何故か、今、この日本の中では『異常分娩』という括りに入らないそうで、助産院では扱えるような表記にもなっているらしい。

おかしいよね。

骨盤位以上に危険なお産のような気がするんだけど…助産院では医療介入が出来ないのに、じゃぁ子宮が破裂したらどうするの?

針と糸で縫えというの?

被害者は出ていないのだろうか。

助産院でのVBACを経験したという人がネット上にチラホラといるけど、被害者はいないのだろうか。


知識って不思議だよね。

2003年の8月31日には知ることが出来ず、琴子のお蔭でこうやって知ることが出来て、今の私がいる。

正しい情報・知識をくれるのは医療従事者の方達です。

間違った情報との見分け方なんて、素人の私達にはなかなか難しいことです。

どうか、一人でも被害者が減るように、悲しいお産がなくなるように、“遺族”が作られないようにしてください。