直接言いたい

新年を迎えました。

このブログを通じて、大勢の方から色々なご意見を頂き、また、メールも頂くようになり、パソコンの電源を入れると“琴子との時間”が持てて、とても充実した日々を過ごせております。

ありがとうございます。

今年も宜しくお願いします。


今年届いた年賀状の中で、夫婦で声に出してまで驚いてしまった報告があった。

それは、旦那の大学時代の先輩の突然の結婚の報告。

一昨年の秋に会った時には全くそんなことは言っていなかった。

それどころか、彼女がいるってことは聞いていて知っていたのだが、結婚は? と聞くと、いつもその先輩は結婚を否定していた。

相手の問題ではなく、自分には結婚願望がないと断言していた。

私の旦那をえらく気に入ってくれていて、「お前に会う時は、大学生時代の自分に戻りたいからなんだ」と言って、大学時代のバカ話をしてくれていて、私なんかはその思い出の中に存在しないのに、いつも聞く話が同じなお蔭で、すっかり私まで存在していたかと錯覚してしまえるほど、私のことも可愛がってくれていた。

そんな先輩から届いた年賀状の写真は、正装した新郎姿の先輩と、ウエディングドレスを着た新婦の姿。

「えー、なんで結婚式に呼んでくれなかったの?!」

って、私達夫婦はショックも含めて一緒に叫んでいた。

早速電話して、留守電に旦那が意味不明のコメントを残し、そしてしばらくしてから先輩から電話がきた。


先輩と旦那のいつも通りのくだらない、とても40歳近い男性同士の会話とはおもえない内容の中、時折旦那が

「はい、元気ですよ」

「うん、今も笑っているし」

と、私の方に視線をうつしてきた。

私はリンズの面倒をしながら聞いていた。

10分くらいで電話を切り、旦那が切るなり、

「君のことをとっても心配していたよ」

と言った。

リンズを妊娠中の一昨年の秋、先輩に会った時にも

「良かったね」

と、心配そうな目で一度だけ私の妊娠に言葉を貰った。

「君が元気にしているか、なんだか凄く気にしていたよ」

電話での会話中、何度も私に視線をうつしていたから、その度にきっと、先輩が私のことを言っていたのだろう。

リンズが生まれたら琴子のことを忘れてしまう(実際には忘れていなくても、その方が良いと思われている)ことの方が多い中、先輩はリンズが生まれたからこそ、琴子への私の想いが強くなることを、感じてくれていたのだろうか。

「死ぬまでさ、私が死ぬまで、傷が癒えることはないから」

と、何故か今日は旦那に寂しく言ってしまった。


旦那の大学時代の先輩で、もう一人、G先輩という女性がいるのだけど、この方にも妊娠7ヶ月のときに天国に逝ってしまった天使ちゃんがいて、琴子が亡くなった後しばらく、私はG先輩にたくさんの言葉を貰い、救ってもらっていた。

いきなり結婚した先輩のお祝いをするために、G先輩も地方から春に上京してくることになったらしい。

都合が合えば、私もG先輩に会いたい。

かなり遠方に住んでいるので、お世話になったのに、いまだにお会いしたことがない。

旦那が風呂に入っている間に、琴子を亡くしてからしばらくG先輩とやりとりしていた日々を思い出し、涙が溢れてしまった。


突然結婚した先輩に、直接会って伝えたい。

「ご結婚、おめでとうございます。私のこと、心配してくれて、どうもありがとうございます。基本的には元気です」

あの頃を救ってくれたG先輩にも直接伝えたい。

「G先輩、実は裁判を始めたんです。後ろ向きの気持ちからではなくて、前向きに。先輩が『自分だけがわかっている、心の中で想っている』って言ってくれたこと、『時間薬』の話もずっとずっと、私の中で続いています。ありがとうございます」

そして、琴子へ。

「琴子、明けましておめでとう! ほら、お年玉だよ!」


春になったら、二人の先輩に会えるかな。

春になったら、琴子のお墓参りに行きたいな。