会いに行くよ

琴子のお墓は群馬県にある。

東村というところで、栃木からだと日光→足尾の山道を使うのが便利で、自宅から3時間程。

日帰りで毎回行くのだが、冬は路面凍結、琴子のところへは行けない。

毎年、春は旦那の仕事が忙しいので、そうなると、11月から5月の間は行くことが出来ない。

旦那の実家のお墓に入れてもらったのだが、入れてもらったというのか、墓石の脇の地面に骨壷のまま、埋めさせてもらったので、琴子は独立している。

寂しくないかと心配になることがあるのだが、魂は別のところにいるのだから、あまり心配しないようにしている。

そりゃ心配だけど、大丈夫。


毎年、5月になると、琴子の眠る地の景色を思い返すことが多くなる。

やっと会いに行けるという気持ちが手伝うのだろう、心も頭の中も、新緑の東村で一杯になる。

いつだったか、一度は夜に着いたことがある。

琴子の眺めている月を、私も眺めることが出来たのが嬉しかった。

そして、寂しかった。


今年はもうちょっとだけ時間が要る。

5月の中旬から下旬の頃に、ようやっと行けるようになる。

もうちょっとだけ待とう。

琴子が待っていてくれているのかはわからないけど、今の私の最大の楽しみ―切なくて愛しい琴子に会いに行く。