ローリスクとノーリスク

いつもお世話になっております、僻地の産科医さんのブログ10月21日より情報いただきまして…

助産所の3割以上が「嘱託病院なし」

日本経済新聞 2007年10月20日

出産時の異常をサポートする嘱託病院を確保できていない助産所が3割を超すことが20日特定非営利活動法人NPO法人)のアンケート調査で分かった。嘱託病院の確保は4月からの改正医療法で助産所に義務づけられたが、産科医不足などで申し出を断られるケースが出ているという。NPO法人は「助産所が廃業に追い込まれる」と危機感をあらわにしている。 NPO法人「お産サポートJAPAN」(東京都国分寺市、矢島床子代表)が9月、全国約300の助産所にアンケートを送付。33都道府県の90カ所から回答を得た。小児科・産科があり、24時間対応が可能な病院への嘱託が、9月時点で「できていない」と回答した助産所は31カ所(約34%)だった。

上記の31ヵ所の助産所は、今まで、どんな病院・何科にお願いしていたのだろうか…

琴子を出産する際、私はどの助産院も、嘱託をお願いしている病院は産科であると信じていたというか、それ以外は有り得ないと、そうではないと知ったとき、びっくりしたなんてもんじゃなかった。

これ、私と同じくらいの感覚の方、多くいらっしゃったんじゃないでしょうか。


助産院での出産を肯定的に捉える会話をする方の中には、

「何かあったときには搬送されるんだから」

と言う方がいる。

で、

「病院でだって、危険なことはあるし、酷い目にあっている人がいる」

に至っていく。

このパターンが殆ど。

私は病院が100%安全だとも言っていないし、心無い病院があることも聞いているから、病院ならどこでも良いなんておもっていない。

こういうことも含めて、産む側の勉強、課題は多くあるとおもってもいる。

でも、どうして助産院での安全面について深く考えようとなると、病院での話しに変えていくのだろうか。

まるで助産院を守るための常套句のようになっている。


助産院と人工破膜を調べようと検索していたら、あるブログに出会い、主さんは助産院で出産しているらしいのだけど、

助産院での出産をする人は、危険性を十分に承知し、覚悟して決めている」

と自信をもって仰っていた。

いやぁ、それはどうだろうか。

仮に、助産院で出産して子が死んでしまった人が、次も助産院で出産するとなれば、覚悟は出来ていると言えるのかもしれない。

でも、どうだろうか、『危険性を十分に承知し』って言うけど、想像はあくまでも想像でしかなく、現実ではない。

申し訳ないけど、お産で地獄を見ていない人(助産院で産めたということは、正常であるわけだし)の想像は甘いと思う。

それは幸せの証なんだから羨ましいくらいなんだけど、前にも書いたけれども、お産で幸せばかりを夢見ていて、突然目の前で子供が死んでいくのをみて、「これで良かった」なんて、どうしたらそうおもえるのだろうか。


色々なサイトを見ていた中で、

『ローリスクはノーリスクではない』

という言葉が印象深く残った。

その通りですね。


私たちは医療従事者の方がおもう以上に、知らないことが多いです。

お産をする人に、ノーリスクは有り得ない。