『臍帯切断』をどうおもうか 其の弐

先日の当ブログ『臍帯切断』をどうおもうかで紹介させて頂いたご意見は小児科医の方のものでした。
今回はいつも当ブログにご意見くださる勤務助産師のふぃっしゅさんから頂いた、当ブログ内でのご発言のものを抜粋し、紹介させて頂きます、ふぃっしゅさん、事後報告ですみません、そしていつも貴重なご意見を有難うございます(ふぃっしゅさん、いつも私の足りない言葉をフォローしてくださり、有難うございます)。


以下

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臍帯は、痛覚はない部分なので切っても新生児には苦痛はない部分です。でも、新生児にとってはまさに「命綱」の大事な臓器です。
日常の生活で臓器を直接扱うことのない方たちに、その重大性は認識できるでしょうか?
怖いのは、見よう見まねで産院で切らせてもらい、「次回は自分たちでお産をして自分たちで切ろう」と、無介助分娩への抵抗感が少なくなる人が出てくることです。
最大の犠牲者は、新生児です。

保鋤看法も医師法も、専門職を守る意味ももちろんありますが、それらの法律を貫いているのは、最終的に私たちが接する患者さんたちや母子を守ることにあるのではないでしょうか?

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以上

また、ふぃっしゅさんはこうも仰っています−『決して、父親になる儀式でも何でもありません』

臍帯切断をグレーゾーンとし、『黒じゃないんだからしても良いってこと』と解釈されるのには疑問を感じます。
ちょっと違うお話にしてしまいますが、今回、皆さんが“グレーゾーンなんだから”と仰られる度に思い出しているのが、琴子の死を知ったある方に、
助産師を刑事告訴しなさい』
と助言されたときのことです。
琴子の死に助産師の過失はあったと私は確信していますし、民事でもそれを和解とはいえ、認めました。
しかし私は、刑事にすることではないとおもっていました。
でも、夫は刑事にするべきかを私以上に悩み、実際に警察にも相談に行き、また、そのときに対応くださった警察の方も正に『グレーゾーン』という感覚でのものだったのです。
これは夫の聞き間違いか、向こうの言い間違い(?)かもしれませんが、
「こういうことに時効はないから、十分に検討してください」
と言われたそうです。
また、福島の産科医が逮捕されたとき、ネットで私の話を知った何処かの産科医の方が、
「だったらこっち(私と琴子のことです)こそ、刑事事件だろ!」
と、警察に通報されたそうです。
また、他の方からも「警察に行くべきだ」と言われました。
正に、グレーゾーンのことです。
そして、“白のない”グレーゾーンなのです。
何故なら、私の心の何処かには一生、『もしかしたら刑事告訴するべき、その必要があったのではないか』という気持ちが残っているからです。
(話しておいて勝手を言うようですが、この複雑な想いは、多分どなたにもご理解出来ないとおもいます、私だけが一生背負ったことですので、刑事にすべきだったか否か等のご意見はご遠慮ください)

色々な書籍や有名人の発言や影響でお産を美化する方の存在は、仕方のないことなのかとおもいます。
しかし、それらのご意見から自然とおもうことや『グレーゾーン』という解釈を、安易にされているような気もしています。
そのグレーゾーンの色には、死んでいる人の臓器、血の色も混じっているのです。

父親になるのに臍の緒を切らないといけないのでしょうか、そのイベント化されたお産で子どもを失った親としての恥や苦しみ悲しみ、全てを背負った私を『自然に任せて素晴らしい』と褒めるのでしょうか。
そのように仰る方は、では、そのイベント化されたお産で子どもを亡くしたご経験はおありなのでしょうか。

今回のふぃっしゅさんのご意見を更にお借りして…
『考えていることを文章で表現すると「断定的な物言い」に読めてしまうかもしれませんが、違法と解釈するにしても違法でないと解釈するにしてもその根拠は何か・・・について議論をしているのだと思いますよ』
このご意見にまた戻れたらとおもっております。

他の皆さんからのご意見にも感謝しております。
これからも宜しくお願いいたします!