『妊婦さんのスポーツ』

基は当ブログ
『それは必要なことなのでしょうか…』
『帝王切開が最後の切り札になるわけではない』
です。
そこにお寄せくださったふぃっしゅさんと立川さんのコメントより抜粋させて頂きます。
ふぃっしゅさん、立川さん、有難うございます。

まずはふぃっしゅさんからです。

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逆子で入院してからほぼ全開だったのにそこからそうとうな時間を要したようで、「お尻が触れるようになったのに」進まずに、そこから搬送されたというだけで、分娩にかかわっている人ならドキドキしますよね。
そこまで逆子で下がっているなら、頭がかなり下がっていて帝王切開でも出てこない可能性が高くて、促進剤を選択したのでしょうか。
こんな状態で搬送された病院のスタッフの気持が、よくわかります。
一番びっくりしたのは、前日にハイキングをしているところですね。
最近、産婦さんにハイキングを勧めている助産院があるようですが、リスクを高めるような流行をつくるのはやめてほしいです。

とにかくこのタレントさんのブログを読んで、危険性を感じないまま話題が広がらないようにしてほしいものです。

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別のふぃっしゅさんのコメントより

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妊娠中の運動やどれくらい歩くか、についてはさまざまな意見もあると思います。
今回問題に感じたのは、逆子で子宮口も開き始めている時期にハイキングに行くことです。
骨盤位では破水直後にさい帯下垂や脱出が起きて、胎児への血流が悪くなり仮死を起こすことがとても怖いことです。
家の周囲の散歩ぐらいはかまわないと思いますが、ハイキングの途中で破水したら、対応が遅れて最悪のことも起こりうると思います。
分娩が近づいた妊婦さんにハイキングをなぜ勧めるのか、その根拠をこちらが知りたいところですね。

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続くようにしてくださいました、立川さんのコメントです

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>分娩が近づいた妊婦さんにハイキングをなぜ勧めるのか、その根拠をこちらが知りたいところですね。

東京立川にある助産院ではハイキングどころか、臨月の妊婦を集めて高尾山登山を実施してます。以前、夕方のニュースにも取り上げられていました。登山させる根拠は次のとおりだそうです。

「まんまる助産院は、9月26日に東京八王子市に臨月の妊婦10名を集め高尾山登山に挑戦した。まんまる助産院・椎名まりこ氏は、先輩の助産婦に予定日を過ぎても生まれない人がいると相談し「高尾山に登らせれば生まれる」といわれた。臨月に山に登ると血行が良くなることで子宮頸管がやわらかくなり赤ちゃんの頭がうまく下がってきて産みやすくなる効果が期待できる。」

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“高尾山登山 臨月”と検索しただけでも、結構皆さん、上記の助産院に通院していないけど“良いらしい”でやっている方もいるって分かりました。
色々と読んでいると、某所でのコメント欄で医療に関わりのあるような方が“高尾山くらいなら幼稚園児たちも遠足で登っているくらいだし”と寛容なコメントがありましたが、どうなんでしょうか。
他に、病院に勤務している助産師の方が、病院に健診に通っている妊婦さんから高尾山登山の相談を受け、『道路も舗装されているから、救急車も通れて搬送してもらえるから安心』と促している内容がありました。

ちょっと横道入るかもしれませんが…
Yosyanさんのブログ新小児科医のつぶやき
『愚挙を称える暴挙』
2009年3月25日と、一年も前になりますが、妊婦のマラソンということで、多分既に読まれている方が多いとおもいますが、まだの方へと…
コメント欄も参考になること多いです。

基、立川さんに続いてふぃっしゅさんのコメントです

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妊婦さんのスポーツについて、手元にある文献をご紹介しますね。
『周産期医学』編集医学会編の「周産期相談318 お母さんへの回答マニュアル」(2009)の中には、
?妊婦スポーツの予想されるメリットとして、「安産傾向(分娩時間の短縮、小さめな新生児)」 (1998年)(p183) 
?妊婦スポーツは分娩経過・周産期予後に明らかな影響を及ぼさない (p205)
と、二つの見解が載っています。
?はあくまで「予想」ですから実証されているわけではありませんし、98年頃はまだ「安産のために体重制限を厳しくして、たくさん歩きましょう」という時代です。
?の根拠となる論文が掲載されていないのでエビデンスがどのレベルかわからないのですが、ここ数年の考え方のようです。

1994年に出された妊産婦の運動に対するアメリ産婦人科学会のガイドラインでは、妊娠中の運動を以下のように分類しています。
妊婦に適した運動:有酸素運動、全身運動、母児にとって安全な運動、
種目としては、水泳、エアロビックダンス、ジョギング、サイクリング、ウォーキング、ヨガ

妊婦に適さない運動:無酸素運動、瞬発性運動、アンバランスな運動、競技的性格の運動
種目としては、バレーボール、バスケットボール、山登りスクーバダイビング

実施する場合には、医療施設が併設されているか厳密なメディカルチェックの体制が確立していること。
運動開始前後に血圧、心拍数、子宮収縮、胎児心拍測定などのメディカルチェックが実施できること。

運動時間は1回につき60分以内

「日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会」から出されている「妊婦スポーツ安全管理基準」も上記のガイドラインと同様の内容で、妊婦スポーツの目的は「母体の健康の維持・増進など」であり、「母児に何らかの異常が生じては本末転倒であるとしています。


「登山」はまず妊産婦さんに適さないスポーツという見解です。
特に逆子の妊産婦さんは、「スポーツの絶対禁忌」に含まれています

立川さんが情報を下さった中で、「山に登ると血行が良くなることで子宮頚管がやわらかくなり赤ちゃんの頭がうまく下がってきて産みやすくなる効果が期待できる」という考えは、あくまでも検証されていないもので、その助産師個人の考えにすぎないことといえます。

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やはり、逆子を軽く見ている方は結構多いのではないでしょうか。
件の芸能人の方も逆子だというのに、その産院の医師もそれを知っていてハイキングに行くことを認めていたわけですしね。
私の『逆子の方が簡単だと言った助産師が複数いる』と言ったことに対して、suzanさんは簡単ではないと仰っていましたし、shy1221さんのブログの記事
骨盤位分娩
にしてくださいましたが(shy1221さんに私信;トラックバックは私、よく分からないです…こちらでもしていますが、上手くいかない様子です…)、こちらでも逆子の方が簡単だと言うのには驚かれています。
でも私的には、実際に面と言われた経験もあって、こうやって逆子でもハイキングしているという話はもっともっと多くあるって感じられてなりません。
ふぃっしゅさんが言うように、家の近くを散歩する程度と、いくら平坦であれ“山を歩く”というのは差があり過ぎます。
空気は美味しいでしょうけど、その代わり、やっぱり搬送は遅いはずです。
山に行くというのは、そういうものにあえて背を向ける行為ですから…

登山、ハイキングまでいかないにしても、過度な運動を進めている方は多くいらっしゃいます。
『昔の妊婦は働いた』
というのが基になっているわけですが、それが妊娠してから急にすることになってしまっているので、アンバランスなものを感じます。

妊婦に適した運動:有酸素運動、全身運動、母児にとって安全な運動、
種目としては、水泳、エアロビックダンス、ジョギング、サイクリング、ウォーキング、ヨガ

ハードなものを想像出来るエアロビには驚きました。
ジョギングも。
上記で紹介のYosyanさんのブログ記事に通じることですが、どの程度の有酸素運動なのか、文字の羅列だけ見ているとサイクリングもバランスを保つのが難しそうだし…
実施する場合には、医療施設が併設されているか厳密なメディカルチェックの体制が確立していること。
運動開始前後に血圧、心拍数、子宮収縮、胎児心拍測定などのメディカルチェックが実施できること。

だとしたら、スポーツジムでは血圧、心拍数は測れても、子宮収縮や胎児心拍測定は出来ないでしょうから(そういうところもあるのでしょうか)、妊婦の水泳を教室にしているジムは不適切ってことですよね。
妊婦のヨガ教室なんかも…
“多少のことは…”っていうのは分からなくもないのですが、でももしかしたら本当はこういう些細なことからして、『お腹の中の子を一番に想うこと』
を薄らせてしまっているのかもしれませんね。

妊婦は何もするなとはおもっていませんよ、やっぱり体重の増加具合によっては危険なこともありますから、管理するためには寝てればいいなんてちっともおもいません、でもどういう運動や管理をしたら良いのか、結構バランスの良い指導っていうのもあまりないのかもしれませんね、急に『一日2時間は歩くように言うよね』から『臨月になったら登山、それも高尾山にはご利益まであるらしい』になってしまって、ふぃっしゅさんが提示してくださったようなメディカルチェックの必要性はついて回りません。

妊婦さんのスポーツが遊びやイベント感覚ではなく、子供を安全に産むための行為、意識からであって欲しいです。
助産院等の特色ではなく…