“いいお産”とは何か? −2

私の頭の整理です。

助産雑誌の記事(vol.64/[助産院のごはん])の中に、現代の出産は他が不摂生なのに出産だけを自然にしようとするから産後の体調が悪くなるとある。ここでいう自然とは、「人体のリズムと自然界のリズムが同調すること」だそうで、この話をする助産師の方は、

人体のリズムと自然界のリズムが同調することで、それには季節や天候を意識しながら生活することが大切になってきます。助産院は、そんな知恵を伝える役割も担っているのだと感じています

と仰っているのだけど、医学的な話よりもこのような感覚的な話を担うのが現状になってしまってはいないだろうか。

本文中には西洋医学には限界があるとあって、そこに鍼灸師になったという理由を置いている。そりゃ西洋医学にも限界はある。予防医学として東洋医学があるということなんだけど、こういうのを読んでいると「子供を安全に産む場所」というのはもう念頭に置いていないのだろうと感じるばかり。確かに予防は大事なこと。でも、助産師の方が助産師に発する情報として、食事はこういうのがいいよとか、東洋医学アーユルヴェーダはこうだとか、なんというのか、興味を持っているところが、視点が違う方を向いているような気がする。「うちの宿はこういう特色でお客さんに喜んで貰っています」という気持ちで読むと、違和感がなくなるのかも。

で、いいお産という言葉。これはどこでも使われている言葉ではあるのだけど、助産雑誌vol.64の同じく[助産院のごはん]で紹介されている助産院の助産師は

いいお産をする人はどんな生活を送っているかに耳を傾け、女性から教わろうとすることで、助産師として成長してきたと振り返る

と、「安産だった人は」ではなくて、「いいお産をする人」という言い方をしている。その後に

お産は人それぞれですが、あえて2つに分けるとすれば、スムーズなお産とそうでないお産があります

となって、この後に「いいお産=スムーズなお産」となるのだけど、このスムーズなお産に認定して貰うには

  • 陣痛の波がスムーズ
  • 出血が少ない
  • おっぱいの分泌がいい

を揃える必要があるらしい。これに認定された方に話を聞くと、

自然な食生活を送ることが安産に役立つはずだと感じ

あー、やっぱり安産でいいんだね。でもしかし、なんで最初から安産って言わないのだろうか。で、おもうのがそもそも「いいお産」って、11月3日にごろ合わせをしたから?

11月3日 - Wikipedia
いいお産の日(日本)
「いいおさん(1103)」の語呂合せに由来。「いいお産の日実行委員会」が1994年から実施している事業である。

更に

いいお産の日 - Wikipedia

(気になるお名前があるなー)
これ以前には「いいお産」なんて言葉は存在しなかったのかな。あえて安産という言葉よりもいいお産という言葉を使いたがるのはなんでだろう。安産に対して難産となると、難産の場合は母子が無事ならば武勇伝として安産を跳ね返す強さがあったりもするけど、「いいお産」に対して「悪いお産」となると、後者は完全否定されたような気持ちになることもあるだろう。あるだろうって、私なんて琴子のことを考えると、そりゃもう、「悪いお産だから語るな!」と言わんばかりの攻撃を受けることがあるんだけどね。先の助産師も、いいお産→スムーズなお産→安産と、言葉が変わっていったけど、結局は安産ってことならば、最初から安産とすりゃいいだけだとおもう。でも、この語呂合わせも手伝って、やたらと普及させていった結果、食生活も気をつけて、妊娠、出産の極みという感覚を作ってきたんだろうな。

助産雑誌vol.63では

「いいお産」という言葉が意味するもの−出産における自然性・主体性・身体性

という特集記事もある。これは「いいお産て何?」と専門家の方もおもうのね!と嬉しくなる記事。

後日改めます。