助産師全員が正しいわけなんてない。

東京都内で開業助産所を持ち、自然なお産を薦める書物も刊行している有名な助産師がいる。

Kという人なのだが、自宅出産も請け負うし、なんだかちょっと有名な助産師なのだが、この方には“無責任な行動”を慎んで欲しい。


琴子を通じて出会った友人が岡山にいる。

確か2004年になったばかりのある日、その友人からFaxが届いた。

それは岡山の地元の新聞社で隔週だかで掲載されるという、Kの連載の記事だった。


記事内容は当然、“自然なお産て素晴らしい!”というようなもので、琴子を妊娠中の頃の私が読んでいたら、きっと目を輝かせて「ほらね、やっぱり助産院ていいよね」なんて言ってしまっていただろう、そんな内容を目にして、私は怒りを抑えきれなかった。

まず新聞社へメールで、

『即刻考えをあらためてください!』

というような内容を送った。

勿論、新聞なんだから、一度刷って配布してしまったものを回収することも無理なのはわかっている。

『360度見渡した情報を掲載してください』

とお願いしたのだ。

助産院でのお産を褒め称えるだけではなく、悲しいお産もあるのだと、また、病院で産むのとは別のリスクが発生するし、そもそもがまず、まるで帝王切開がいけないというような心象を与えることは間違っている、帝王切開も立派なお産だということも伝えられる内容にするべきなのだ。


Kに対しては、日本助産師会を通じて私の意見を伝えてもらおうとおもった。

まず、Kに言いたいのは

「自分が岡山で開業しているのなら責任もとれるだろうからまだマシだが、自分は都内で開業していて、都内の産婦のお産しか扱えないというのに、どうしてわざわざ岡山の人にメッセージを送る必要があるのか。

全国扱いの書籍ならまだ許せるが、新聞というのは地域に密着したもので、Kが記事を掲載して呼びかけることなんてしてはいけないことなのだ。

岡山県内で助産所を開業している助産師に任せるべきなのだ。


記事を読んだ人の中には、きっとKにお産を頼みたいとおもった人も大勢居るだろう。

だけどお里が都内ならまだ実現も可能かもしれないが、多分読んだ人の殆どが地元人だろうし、Kが扱える産婦さんは岡山にはいないと言っても過言ではないだろう。

Kに憧れた人が助産院でのお産を夢見、岡山県内で助産所を探したらHのような助産所しかなくて…十分想像出来る。


「自分の管轄のエリアの方達にメッセージを送るならわかるけど、どんなに頼まれても、自分が扱えない地域の人にメッセージを送るのはおかしい」

助産師会に言ったら、回答はとてもシンプルで、

「Kさんは素晴らしい助産師ですから…」

はー、参った。

凄いなぁ、無責任てこういうことを言うんだよなぁ。


今これを読んでくださっている方の中に、助産院で産むことを選択している方はいませんか?助産院の全てを否定はしていませんが、あなたが産もうとおもったのは、もしかしたら無責任な情報からではないですか?

助産院だから素晴らしい、なんてことはないですからね。

得た情報の発信地は何処ですか?

他県の助産師の話に夢を馳せてしまっていませんか?

産む場所は一つです。

夢を描いた助産所と、実際に産む助産所が違うのならば、かなり覚悟をして挑んでください。

***********************************


今日の夜は友人のクロちゃんの家に出掛けた。

クロちゃんも、私が琴子の逆子で悩んでいる頃から死後のことまでよく知っているので、私達夫婦の起訴の報告と共に、あの頃を振り返って話をした。

クロちゃん夫妻に感謝、今日はクロちゃん夫妻の気持ちに救われました。