命の保障
『助産院で産んでも、病院で産んでも、特別な医療介入がない限りは出産費用はそれほど変わらない』
不思議だ。
助産院では医療介入はあってはならない(琴子とのときにはあったし、助産師会もそれを違法とは言わなかったから謎を含む)。
私が琴子を産んだH助産所では、陣痛で何泊かかろうと、大体25万円と言われた。
当時は「なんて良心的!」とおもったけど、H家の家で産むだけで、食事だって結構悲惨だったし(スーパーのお惣菜とか)、旦那も一緒だったから二人分といえばそうだけど、お風呂も入らなかったし、テレビも見れないし、とにかく産む部屋にいるだけ。
なんかで決められているんだろうけど、病院ならある程度は設備が整っているわけで、尚且つ総合病院や、NICUのある病院なら搬送時間も省略され、安全が比較的高い数値で確保されることになる。
25万円という値段は助産院の中でも比較的安い方になる。
私の知人は助産師の資格を持ってはいるが、開業をしているわけでもなく、ある町の個人開業医の産婦人科の分娩台を借用し、“助産師だけで産む”という、ちょっと変わった助産業をしている人のところで産んだ。
分娩台を借りているだけなので、産んで数時間休んだらすぐに帰宅。
出産翌日以降、3日間ほど、自宅まで助産師が健診にきてくれるそうだ。
だけど出張費だのなんだのと、きちんと計算されているから、トータルで40万円くらいは支払っていた。
私はリンズを総合病院で産んだ。
会陰切開と吸引分娩。
5日間の入院。
昼間の分娩だったためか、同室の人たちの中でも比較的安い方だった。
41万円程度。
H助産所では嘱託医が誰だったのか、今でも知らない。
嘱託医が誰であれ、琴子の場合は緊急医療に対応できるところに搬送されるべき状態だったろうから、救急車での搬送となる。
となれば、救急車をよんで来るまで、果たしてどのくらいの時間を要するのか、一番近い緊急病院はどこにあるのか、どのくらいかかるのか。
助産院によっては、産婦が入るお風呂が家族風呂ってこともありえる。
H助産所はそうでした。
ただ、入浴していいよとは言われなかったから入らなかったけど、衛生面、どうだったんでしょう。
まさか、こんなお風呂で「水中出産!」なんて、やっちゃっていませんよね?
水中出産の場合、ぬるめのお湯だから、ばい菌が繁殖し易いので、かなり厳しく管理した環境でないと、怖いことが起こり得る状態です。
勿論、水中出産の良い面もあるでしょう。
昔のお産は、6割の子供が生きて生まれれば良しと言われていたそうです。
私が琴子を産む頃には、こういう話が耳に届きませんでした。
残念なことに、誰もアドバイスをくれなかったというより、誰も知らなかったということです。
知っていても言えなかったという人もいたのかもしれません。
もしもこれから助産院もしくは自宅分娩をされるという方がいたら、是非、再確認してみてください。
別に私はそれを否定したいだけなわけではなく、じっくりと考えるべき問題ばかりを含んでいるのがお産だとおもうからです。
生まれてからどうやって育てるかなんてことは、生まれてから考えれば良いことで、まず、子供を無事に産む環境にあるのか、自分の命が危険にさらされたとき、子供の命と自分の命がどこの病院に搬送されるのか。
お産こそが十人十色、それは母体のことだけじゃなく、お腹の子供のことも。
二人目だから安産とかって言う人もいるけど、リンズもちょっと危険がありました。
一人目の方が楽だったと言う人もいます。
どうして医学が進歩したのか、私はそれをもっと知るべきでした。
そして、多くの情報の中で、決心するべきでした。