琴子の弟 その2


翌日、またベッドの上で退院診察の結果を待つ私に、助産師の方が

「退院許可、出ましたよ!」

と報告に来てくれた。

この二日間、会う助産師の方全員と言っても過言ではないくらいにチアノーゼのことを聞いていたので(退院後のために聞いていた)、報告に来てくれた助産師の方にもチアノーゼが出た場合の見分け方とかを聞こうとしたら、

「小児科の先生と話しますか?」

と聞いてくれたので、またお願いした(心のどこかでは『私程度が時間を割かせてよいものだろうか…』と申し訳ない気持ちもあった)。

前日の小児科の先生とはまた別の先生だった。

どうやらダンジも、彼女の子を診察していたときと同じ、男女二人共の小児科医が診てくれていたようで、そのときの男性小児科医だった方らしい。

この小児科の先生の説明はかなり分かりやすく、

1.確かに、哺乳時以外にも呼吸の乱れを感じることがある

→でも、新生児の臓器はまだ未熟なので、このくらいのことは他の子でも見落としているだけで、有り得ることといえる

2.呼吸器、心臓の異常はまず現段階ではない

3.神経性のものでもない

※註:上記3点は私の解釈の上での表記なので、小児科の先生はもっと違う言葉を用いての説明であった


1の“このくらいのことは他の子でも見落としているだけで、有り得ることといえる”について、もしかしたら医療を否定的におもう人にとっては、「ほらご覧、医療って大袈裟に、なんでも人を脅かして」ってことなのかもしれないけど、私は全く逆におもった。

これだけの安心感をもって退院出来るのは、本当に有難かった。

だって、“見落としているだけで、有り得ることといえる”上で、もし自宅に戻った後に、あるとき突然、チアノーゼの出た我が子の顔をみてしまったら、それこそどうなってしまっていたか。

色々と聞きまくった助産師さんたちの“その場合の対応策”を聞いていなかったら、背中を叩いてとか、そんな簡単なことすら真っ白な頭の中には浮かばなかったかもしれない。

子供のときの『避難訓練』に対する姿勢を思い出す。

やっぱり意味はあったんだなぁって、大人になってからおもう事がある。

ダンジがあのまま希望日に退院出来ていれば、遠方から忙しい中、日帰りという超過密日程にて来てくれていた私の実両親、祖父母にもっと沢山抱っこしてもらえたし、モニタ装着音を子守唄にして夜を過ごすこともなかった。

でも、あのチアノーゼが出たということによって、私は大きな危険を回避出来たような気持ちになれた。

怖かったけど、助かった。

他ではまだまだ無知なままなんだけど、チアノーゼが出た場合について、小児科の先生から聞いた説明を聞く、知ることが出来た。

どういうときに診察を受けるべきかとか、納得いくまで説明を受けることが出来た。

それも、私は日曜退院、日曜日だというのに。


大きい病院が良いよーなんてことを断言して言うつもりはないけど、少なくても私は自分の経験からは、友人から産む場所について問われたら、まず距離的に可能なら、健診だけでもリンズとダンジを産んだこの病院を薦めます。

距離的に無理だとしたら、リンズとダンジを産んだ病院と同程度の施設を薦めます。

特別に医師の方や助産師の方と親しくなるとか、“アットホーム”なものなんて得られないかもしれないけど、リンズもダンジも無事に産めたから、私は医師の方が忙しそうで診察時間はあっという間でも不満はないんです。

入院時、助産師の方たちも日々顔を変えるけど、一人ひとりがしっかりとした方ですから、顔と名前を一致して覚えられなかっただけで、出産と育児に問題はなかったです。


また今回の出産について、話したいとおもっています。

明日になるかいつになるか、また放置が続くかもしれないし、すぐ書けるかもしれない、わからないのですが、とにかくまた書きます。


状況の変わった私ですが、また宜しくお願いします。


※内緒にしていて、本当にすみませんでした。

メールでも何度もやりとりしている方にも、本当に申し訳ないです。

不快なおもいをさせてしまった方もいるかもしれません。

詫びるしか出来ないし、内緒にし続けることが正しかったのか否か分かりませんが、ダンジのチアノーゼの件にて、第三子の出産を報告することにしたこと、ご理解ください