赤ちゃんの肝疾患早期発見啓発運動

山口県のVKシロップの訴訟を機に、赤ちゃんの肝疾患早期発見啓発運動をされている方たちからご連絡を頂き、私も勉強をさせて頂いております。今回はその活動をされているグループのメンバー、sakuraさんからのご意見を記事とさせて頂きます。
有難うございます。

私は産科医の個人病院で無事に娘を出産をすることができたのですが、その後「胆道閉鎖症」という難病で生後2か月半に脳出血を起こし、娘を亡くしました。
この病気は、早期発見することによって一命を取り留めることができます。けれど、見落とされるケースが後を絶たないのが現状です。
胆道閉鎖症という病気について、また早期発見の重要性を、産科医・小児科医・助産師・看護師・保健師、そして赤ちゃんのご両親に至るまで、赤ちゃんにかかわる全ての方々に知っていただきたいと願い、「赤ちゃんの肝疾患早期発見啓発運動」をしています。

【胆道閉鎖症】新生児・乳児の難病
肝ったママ´s 早期発見啓発運動ホームページ

健康な赤ちゃんの便の色は「黄土色・山吹色・深緑色」と濃い色です。
肝疾患の病気の便の色は「淡い色・薄い色」から徐々に「クリーム色・灰白色・白」となって行くのですが、医学書には「クリーム色・灰白色・白っぽい色」と記載されており、医療の教育現場でもそのように指導されます。
そのため、母親たちは医療従事者から「白い便に注意」としか指導されず、肝疾患の早期発見が遅れる結果となっています。

母親が便の色の薄さ・肌の黄疸の異常に気付いて小児科へ受診しても、難病故に臨床経験のない医師に見落とされ、病気が発見された時には「肝硬変・合併症」が進み、移植が早まる事例も少なくはありません。
(胆道閉鎖症の専門医は小児外科医で、臨床経験の少ない小児科医では所見で胆道閉鎖症・肝疾患を診断することは難しいのが現状です。)

肝臓の胆汁分泌が不十分なため、吸収障害がおこり、脂溶性ビタミンであるビタミンKが吸収されず、その結果、ビタミンK欠乏により凝固機能が低下し、出血しやすくなるリスクが高まります。新生児では脳内出血を起こし、それによって病気が発見されることもあります。
胆道閉鎖症等の肝障害がある場合は、ビタミンKの吸収障害があるため、
生後から3回投与されるビタミンK2シロップを与えても効果が期待できない場合があるからです。
この病気は「早期発見・早期治療」がもっとも大事です。
私の娘同様に、脳出血を起こしてから胆道閉鎖症を診断されるお子さんは、昔からも症例はありますし、今も後を絶ちません。。


娘の経緯ですが、昨年5月、胆道閉鎖症によるビタミンK欠乏症の為、生後2ヵ月半で脳出血になり、手遅れで脳死状態に。葛西手術(胆道閉鎖症の初期の手術)が出来ず亡くなりました。

産院での産科医による生後1ヵ月健診時の時に、便の色は明るい黄色でした。
便の色は問診のみで、目視での確認は無し。(小児科医でも問診だけの所は多いです。)
白目の黄色(黄疸)も濃いのが薄くなりました。
肌の黄疸もありましたが黄疸チェックも高めだけれど基準値内だから大丈夫と言われました。

生後1か月半に便の色が「薄い黄色」になりましたが、お乳も良く飲んで体重も順調に増えていて機嫌も良く睡眠も安定していたので、疑問に思いながらもそれが異常とは思いませんでした。
産院の退院指導で、「便の色が白だったら病院へ!」と言われていたので「白」ではないから大丈夫だろうと思ったのです。また、健診のたび自治体の赤ちゃん訪問時でも、「お乳をたくさん飲んで、体重も順調に増えていれば大丈夫!」の言葉が頭に刻み込まれ、「大丈夫!」と思い込んでしまっていました。
生後2か月の時に、お粥のような白いブニュとしたウンチをして(便色カラーシート2番。病的な色)、でも「真っ白」ではないから大丈夫だろうと病院へは行きませんでした。
その13日後に娘に異変が起こり、救急車で病院へ。
娘は2回目の脳出血を起こしていました。
救命手術をして一命を取り留めましたが、ビタミンK欠乏症のため思ったより出血が早く、後のCT検査で脳が70%死滅が判明。
出血傾向が強く、手術中にビタミンk2の点滴投与で出血が治まった事、便が白い事で「胆道閉鎖症」が疑われ「頭がパンクしているので、葛西手術は出来ない。この子の心臓が持たない。」と医師に言われ、救命する治療の術が無く、娘の体に負担が無いように最小限の治療をお願いして、5日目に娘は息を引き取りました。

娘は、真っ白い便が出る前の生後2ヵ月のころに1回目の脳出血を起こしていた形跡があります。
その時は脳を圧迫する前に血が止まって血の塊となり、脳に影響がなく、症状が出なくて気付いてあげられませんでした。(脳出血を起こす前の嘔吐も皮下出血もありませんでした。)
私の知識のなさ、経産婦という育児経験が受診を遅らせ、娘を死なせてしまいました。。(救命手術の際、混乱していて便の白さを伝え忘れていました。。)

娘が亡くなった後にネットで病気の事を調べていたら、早期発見のための「便色カラーシート」(便色調カード)というものがあり、全国8道県で配布またはスクリーニングが行われていることを知りました。
このカラーシートが手元にあったら、生後1ヵ月半の時に病気に気付き、娘は脳出血を起こすことなく葛西手術を受けることができたかと思うと悔しくてたまりません。(しかも住んでいる隣の県で実施されていて。。)
地域差で命が左右してしまうなんて、、娘を産んだ産院の助産師・産科医・看護師と、住んでいる保健センターの助産師に便色カラーシートを見せたら、「え?いきなり白の便が出るんじゃないの?徐々に薄くなるの?!」「知らなかった。。」「カラーシートを初めて見た!」と驚いていました。
「知らなかったのね。。。」と驚愕して、啓発運動を全国に展開するために活動を進めています。

母子手帳の1か月健診の欄にも「薄い黄色、クリーム色…」と記載がありますが、病名も載っておらず、あまり重要性を感じていませんでした。
生後1カ月過ぎたら関係ないとも思っていました。
どの育児書にも病気の本にも「白色便・灰白色・白っぽい・クリーム色」とばかり書いてあるため、便色カラーシートを目にしなければ母親は赤ちゃんの便の色の異常に気付かず、病気の発見が遅れてしまうのです。

中には、助産師・看護師・小児科医が薄い便の色を病気と疑って検査を勧め、胆道閉鎖症の病気を発見出来た経緯もあります。
住んでいる地域、臨床経験のある医療従事者に出会う運で、命が左右するなんて、、、運が良いとか悪いとか、「発症数が少ないから…」と片付けている現状を打破しなくてはと、強く思います。

私は栃木県で妊娠、出産を経験しているのですが、栃木県ではこのカラーチャートが配られています。母子手帳に入っているので、母子手帳を受け取れば、何処で産もうとこのカラーチャートを手にすることが出来ます。他都道府県でも当たり前に配られているとおもっていたので、お話を聞いてびっくりしました。
これは全国で配布をして欲しいです。というのも、やっぱりあのカラーチャートは凄く印象強いですよ。最初に目にしたときに、「一体、なんのことだ?」とよくわからなかったです。でも簡単な説明もあったので、それを読んで便の色が白いかもしれない、そういうことがあるかもしれないという意識を持つことが出来ました。こういうことはなかなか一般常識のようには入ってきませんから、妊娠中に知るというのは大事なことだとおもいます。リンズ、ダンジのときには、退院のときにカラーチャートの色と便をよく見比べてきてくださいと、口頭でも説明がありました。だから、便の色は自然に気にすることが出来ていました。1ヶ月健診のときに、便の写真が何パターンかになっていて、子供の便の色が一番近いものにチェックを入れて提出するんです。だから今、その用紙が手元に残っていないので正確なことがわからないのですが、確か栃木県だと自治医大に指定されていたとおもうのです。

是非、全国配布を叶えて欲しいです。