「用手剥離のリスクや説明」から考える＞学校教育で医療の授業を！

当ブログ用手剥離のリスクや説明に3人の産科医の方がご意見をくださいました。桜井純一郎さん、suzanさん、山口(産婦人科)さん、有難うございます。

このお題、私にはかなり耳に痛い話でした。なぜならここで要求されている説明水準は、総合病院の産婦人科医である私もクリアできていないからです。
　正直に申し上げて、産婦人科医院や総合病院でも、これだけ緻密な説明ができているか疑問に思いますよ。
　自分のところで完結できない助産院ではもっと高い水準の説明をすべきというのであれば、私のところのような妊娠子宮摘出のできない産婦人科でも同様の説明をしなければいけませんね。

とくださりましたが、私も自分がリンズ、ダンジを出産した病院では「用手剥離」に限らず、具体的に症例を挙げての説明はありませんでしたが、助産院や自宅出産を開業する助産師の方の場合、桜井純一郎さんが仰るように

それでも助産院は医療行為ができないからこそ、その説明を（ある程度は）するべきで
助産院は病院に比べ医療行為ができないのでこれこれやこれこれの時に危ないですしその場合命の危険も増します
分娩というのは、時には自分や赤ちゃんが命を落とすし大きな手術をすることもある
くらいの話はするべきだと思うんですよね。
実際に話をしても妊婦さんが聞いてくれないもしくは覚えていないということも十分ありそうですが。
多くの助産院は「病院と違いゆっくり話ができるのが売り」のようなので、説明の時間はあるはずと勝手ながら思います。

その通りだとおもっています。でも、同時に『前回病院で出産した』という方の中には自分が受けた処置や医師の態度に納得いかないという、それこそTOYOTAさんと同じような感想を持っている方がいて、そういう方が助産院や自宅出産を選んでいくという傾向もありますので、やはり私は“産む側の勉強”も必要だとおもっています。

私の意見、山口(産婦人科)さんの意見、suzanさんの意見も食い違うでしょうし産婦人科医でも意見が分かれる内容だと思います。
ここは「助産院は安全？」という琴子の母さんのブログですのでそっちに意見が寄ってしまっていると思います。
論議の着地点を間違えないためにも、疑義を書くのも大事ですよね。

論議の着地点が母子の安全を最優先することとすれば、助産院や自宅出産を選択する際にリスクの説明を助産師に任せていることに、私は問題があるとおもっているんですけど、これも偏りにおもわれちゃうのかな？　
suzanさん

これまで産科医が助産院でのお産に無関心だったから知らないのだ、という
言い方も正しいと思います。
その点では、産科医も反省しなくてはならないでしょう。

反省してくれなんておもっていません、むしろ気がついて頂いて嬉しいです。ですから是非、もっともっと知って関わって欲しいです。産科医の方にもっと介入してもらいたいです。リスクの説明だって、以前に別の産科医でもあるおさママさんが「助産院や自宅出産を選択することがリスクだという説明をしているのか？」と仰っていましたが、あの話も今回のことととっても通じることだとおもっています。「何かあったら搬送します、その見極めを私がします」は、リスクの説明ですか？　「病院ではすぐに切ったりするけど、大半の女性には自然に産む力がある、生まれてくる時を赤ちゃんが決めてくる」というのも、リスクの説明ですか？　私は特に後者になると、もうリスクを感じさせないように麻痺させているようにしかおもえません。このような次元にいきなり「用手剥離」の説明も何も、そりゃちょっとどうよっていうのは言われそうですが、でも私は助産院や自宅出産の場合はすぐに医療の介入が出来ない分、リスクの説明のハードルは上げるべきだとおもうし、それを医師の方にしてもらえたらとおもっています（忙しくって無理！と言われそうですが…）。
私はTOYOTAさんのお話を聞いていても、どうして最後まで助産師が医師を立てる説明をしないのかが疑問です。
病院を選択する方の多くは、「いざというときにすぐに助けてほしい」から選んでいるのですが、中には「病院なんだから助けて当たり前」という気持ちになってしまっている方もいる、そして、具体的なことを知らないために病院で受ける処置の大半を『過剰な医療介入』とおもってしまったり、後に誰かに「病院ではすぐに切ったりする」と言われると、「自分は正にそれをされたのだ！」とおもってしまい、「いざというときには助けてくれる」とおもいながら、そのいざを自分では分からないことには変わりないから、結局、何かしてもらっても不満を残してしまうんだと思うんです。この流れの先に助産院や自宅出産があるとおもっています。ですから、まぁ偏っているブログだとして頂いても構わないのですが、しかしもっと根を知って欲しいです。助産院や自宅出産での説明が無い以前に、私たち一般人に知識がないということも、結局は医療を批判する結果を生んでいるんだとおもいます。
一部の人の努力により文明（医療）が向上しているだけなのに、その時代に生きているだけでそれを当たり前におもってしまう、でもその文明の向上がどうして成されているのかさえ理解していないから、文明を上げている方と利用しているだけの人の間にかなりの差が生じているわけですよね。「学校教育で医療の授業を」という声を聞いたことがあります。私はそれも大事なことだとおもいました。是非、実現させて欲しいです。配られたプリントや教科書を全員がきちんと読んで学習するとはおもえないけど、でも今のような医療批判の風潮は改善できるのではないかとおもいます。