高齢出産を自覚する必要性

産婦人科医haruさんのブログ【産婦人科医は頑張っている。】の記事>甘く見てませんか?を拝読しました。東京の40歳過ぎの初産の女性が京都の知人頼って避難し、haruさんの病院を受診、分娩は奈良の助産院を予定するから健診をお願いしていらしたというお話です。この日のharuさんのタイトルが全てを物語っているとおもいます、甘く見ていると私は感じます。

妊娠26週の初産婦。 年齢は、40歳をすこし過ぎておられます。
子宮筋腫もあるそうですが、前の病院(助産院の嘱託の病院)からは、
助産院で分娩しても、大丈夫だろうって言われているそうです。
たしかに、ボクがみても、筋腫が邪魔になることはなさそうでした。
初期のうち病院にちゃんと通っておられました。
その病院はけっこう大きな病院で、
母子手帳に記載されている数人のドクターの名前は、毎回全部違っていました。
この方を2回連続で診察した産婦人科医はいないということです。
産婦人科医がこれまでの経過として、助産院での分娩に問題はないと判断しているようです。

でも、ボクが嘱託をしている助産院なら分娩は受け入れないだろうと思いました。
やはり、年齢が高過ぎるからです。
普通にうちで出産しても、ハイリスク分娩加算が保険請求できます。
つまり、助産院では危険だと言うことなのです。
(もちろん、これは一般論です。)

(中略)

確かに、年齢というファクターだけでその妊婦を評価するのはどうかと思います。
それだけで否定されるのは、本人にとってもつらいことなのでしょう。
しかしながら、妊娠経過は順調でも、分娩室で急変することはたくさんあるのです。
たとえば妊娠高血圧症は年齢が大きく左右する病態です。
この妊婦さんの分娩を取り扱う施設は、それなりに急変に対応できる準備や設備を整えておく必要があるでしょう。
こういった、「急変」に対して、この助産院は、どういった対応を準備しているのでしょうか?
嘱託医の意見も聞きたいところです。
また、妊婦自身があくまでも「ハイリスク妊婦」であるということを自覚していく必要もあります。
この妊婦さんも、自分は年齢的にハイリスクであることは認識しているものの、いままでかかった産婦人科医からとくに助産院での分娩が危険であるとは説明されていないということでした。

「年齢以外は、全くの正常の妊婦である」という理由で、
「多分、大丈夫」とされているのでしょう。

そして、そもそも、「助産院でお産する」ということの意味は何なんでしょう。

元々出産予定だった東京でも、高齢であることを特に注視されなかったようですし、奈良の助産院でも引き受けるということ。反対に、助産院でも年齢で断るところもある。これは同じ助産院経営者でも、意見が大きく分かれるようです。医師の方達でも、助産院で産むことに特に意見なく過ぎる方もいれば、haruさんのように意見下さる方もいる。
「危険があったら(感じたら)搬送する」とか、異常がない方限定という、このあくまでも「ちょっとリスクはある方なんだけど、大丈夫そうならやっちゃお!」っていう感じにしか私には見えないんですよね。結果で考えましょうって感じに。しかし、その結果というのが「最悪、子供の死や障害」
っていうのをきちんと言葉にされていないから、完全に勢いにのってしまうというのでしょうか。

私は40歳での初産という経験ではないから、同じようには言えないけど、同じ女性として、高齢出産という言葉を知らないで生きてきたことはないとおもうので、色々な事情から40歳まで出産出来なかった御苦労などあったとしても、年齢で区切られることに嫌悪感をそれほど抱くものなのかともおもうのです。私自身、年齢を言うのが恥ずかしいとか、年寄りにみられたくないとか、あんまりおもわないからかもしれないんですけどね。勿論、中傷するために「クソババァ!」という人は好みじゃないけど、毎日年をとっていくというのは当たり前ですから…だから、「今時の40歳は若い!」とかっていって、自然分娩推奨派の方達って助産院や自宅出産を薦めてたりしますけど、私はこのharuさんのタイトルの「甘く見てませんか?」っていうのは、この妊婦さんだけじゃなくって、高齢出産でも順調なら大丈夫だとか、そういうことを言っている方達全員に向けさせて頂きます。

あと、避難しても助産院っていうのはどうなんでしょうかね。距離も問題だとおもうけど、なんていうのかな、この方の場合、「病院じゃなくて助産院で産む」っていうのがこだわりなだけなんじゃないかな? 助産師とだって、付き合いそんなに深めないままに出産になりますよね。それでいいのなら、病院だっていいじゃない? 「とにかく、助産院」なんだろうな。

私が高齢出産だけどヨガとかやっているし、体は健康なのに管理されて嫌だったという愚痴を聞いたことをある産科医の方に話したら、
「見た目は若くても、産道が凄く硬かったりして大変なことがある、そういう体の中の硬さまでは自覚出来ないことですからね」
と教えていただきました。