助産院からの搬送の事例から、その助産師の大事なものが伝わってくる

先日の当ブログ“自然帝王切開”?!のコメント欄からです。
※今回、分娩進行時の用語に対して、私たち一般人がわからないとおもえるものには解説されているURLをリンクで張りました。全て私、琴子の母が勝手に調べてみつけたものですので、もしも間違い等ありましたら教えてください、修正します勤務助産師であるあすかさんから頂いたコメント、あすかさん、有難うございます。

私の病院も助産院の嘱託をしているんですが、基本的に助産院や自宅での分娩が成功していますので搬送はほとんどありません。

この間あった搬送にたまたま2度とも遭遇しましたのでお話したいと思います。
搬送の時期は1期2期もあります。
2期の方が最初でしたが、状況を電話で報告してもらうと排臨から進んでこないので搬送したいと言われて、心音は大丈夫とのことでしたが状況によっては緊急帝王切開も必要になるかもしれないので「救急車で来てください」といいました。
しかしタクシーで来られました。

救急車なら15分もあれば来れるところをタクシーなので30分以上経っても来ず。
夜間出入口の対応をしてくれているスタッフが病棟に電話を入れてくれてタクシーで来たことが発覚しました。
救急車とタクシーでは搬入口が違いますのでそのことでもタイムロス。

結局は吸引分娩で産むことが出来はりましたが「助産院で産めなかった。こんなところで産んでしまった」と当日から退院までご本人がおっしゃるので医師も他スタッフも気持ちが萎えました。
私自身は助産院のお産に興味があったので、バースレビューでご本人にどんな感じで2期を過ごしていたのか聞きましたけど・・・。
搬送が決まって、救急車で行くと思ったらタクシーで行くと言われてタクシーに乗ったと教えてくださいましたよ。

そんなことがあったので、スムーズな連携を行うために、搬送するからにはこうして欲しかったと言うところを色々師長に申し入れしました。
そういうことが決まって無かったのも問題でしたけどね・・・。
で、「搬送には救急車を使ってもらうように」ということになりましたが、次の方の搬送の時も「救急車でなくタクシーで行ったらダメですか」と聞かれましたので再度救急車を!とお返事しました。
助産院の対面を気にするのはわかりますが、根本の母児の安全を忘れないでほしいです。

文字化けがあったため(上記は文字化け箇所を修正してあります)、その後に再度頂いた分と併せてご覧ください

分娩第1期も第2期も搬送は受けました。
最初は2期の方でした。排臨から進んでこないのでCPDを疑っておられました。

次の方は分娩第1期でした。
どちらも初産婦さんでしたが、最初の搬送の方が遷延分娩となった後、助産院で数時間経過を見ていても進んでこないので・・・と搬送してきた経過もあってか
分娩第1期で搬送されてこられた方は (結果として)もう少し助産院で看ていても大丈夫だっただろうな、産めたかもしれないな って方でした。
第1期の方は陣痛開始からまだそれほど経っていない回旋異常で、産婦さんの体力もまだ残っていましたので。
ただ、前回の産婦さんがかなり疲労困憊だったので「今回は早めに搬送します」ということでした。

“状況によっては緊急帝王切開も必要になるかもしれないので「救急車で来てください」といいました。しかしタクシーで来られ”たのは、何故でしょうね。遠慮せずに救急車で来ていいですよと、はっきりとそう言われても、この助産院、助産師は何を考えてタクシーにしたのでしょうか。あすかさんが最後に仰ってる通り、助産院の対面を気にするのはわかりますが、根本の母児の安全を忘れないでほしいです。本当に対面優先というのがわかり易く、凄いことですよね、救急車で来いといわれても、「搬送したい」と言ってきた本人が、近隣の方達に「あそこの助産院、救急車呼んでいたけど、何があったの?」とおもわれたくない一心でタクシーを呼ぶなんて、本当に恐ろしいです。まるで母子が死んでも、何かあっても構わないという覚悟でタクシーを呼んだってこちらが受け止めてしまっても、間違いだとは言えないですよね?
あぁ、そういえば事故報告の中で、救急車を呼んでもらった方って、どれくらいいらしたかな? 自家用車が圧倒的に多いですね。「救急車で来てください」と言ってもらってもなのか、そこら辺がわからないので、まだ同じようには考えられないこともあるかもしれませんが、どうも“周囲に救急車を呼ぶ、緊急搬送という事態を知られたくない”ような印象は残りますね。

結局は吸引分娩で産むことが出来はりましたが助産院で産めなかった。こんなところで産んでしまった」と当日から退院までご本人がおっしゃるので医師も他スタッフも気持ちが萎えました
本当に知らないっていうのは恐ろしいことなんです。この方からしてみたら、さんざん「病院だとすぐに医療介入をする」ということが刷り込まれているのか、「吸引? だったらやらないでも産めたんじゃないの?」っていう意識が凄く強く残っているんだとおもうんです。もしかしたら“帝王切開しました”ということなら『助産院では無理なことだった』とおもうのかもしれませんが(それでも文句言うような方がいるのも伺っていますが)、吸引分娩は会陰切開の次くらいに「医師が早く終わらせたいからすぐにする行為」くらいに言われていることもありますから、多分、「要らんことされた」くらいにおもったのかもしれません。結局、開業助産師の方達が事前に必要なこと、重要なことをきちんと伝えていない、教育していないことの証だとおもいますよ。医療を否定して成り立っているのが助産院、自宅出産だということは否定出来ない事実だとおもいます。

搬送への判断の悪いお話も事故報告で伺っていて、本当に腸煮えくり返ることが多いのですが、このように、「搬送します!」としてもこのような救急車じゃなくてあえてタクシーとか、こういうのも本当にね、本当に腸煮えくり返ります。このお話は結果がまだ「母子無事に済みました」だから良いかもしれませんが、私からしたら充分に問題のある助産師だと思います。病院側から頼まれないと救急車を使うことを受け入れられないというのは、一体、どういうことなんでしょうか、何を大事にしているんでしょうか?