頻産婦の問題 − ハッカちゃんのお話から考える

無介助分娩の危険性と同時に頻産婦がハイリスクであるということ、助産師立会いであっても自宅出産、助産院での分娩もガイドライン禁止されている産婦人科医と相談の上、協働管理すべき対象者ということをもっと知っていく必要があると、今回の無介助分娩放送の問題から再認識しました。
これは私のように無知な者からすると、「多産て安産じゃないの?」という素朴な疑問から入るとおもいます。
でも、出産5回目となる妊娠からハイリスクに入るそうで、その分娩は病院施設でするように産婦人科医と相談の上、協働管理すべき対象者と指導されています。

以前に当ブログでお話させて頂いた天使ちゃんで、ハッカちゃんがいます。
危機感のない助産師−自宅出産、女児死亡
危機感のない助産師−自宅出産、女児死亡 Vol.2
ハッカちゃんはお母さんのhaccaさんにとって、6回目、6人目のお子さんでした。

最初のお子さんと二人目は助産院で分娩、以降はその助産院の助産師が出張もするということで、自宅出産を選択して全員、この助産師が子供を取り上げたそうです。
だから、関係は濃かったそうです…が、本当だったら5人目を出産するときから
自分では請け負えない、頻産婦になるから病院で出産してくれハイリスクになるから自宅で出産するのならば相当の覚悟をしてくれ」
と説明するべきなのに、haccaさんはハッカちゃんが亡くなってから、頻産婦はハイリスクになるということを知り、正しい説明(インフォームドコンセント)を受けていなかったと知ったのです。

haccaさんはご自分の記憶を辿ると、数々の出来事を疑問に感じるそうです。
その疑問の中には
「頻産婦だったからではないか?」
とおもえることもあるそうです。
疑えばきりがない? そうですよね、かもしれないけれど、「正しい説明がない」、「自分の身体がどういうことを引き起こす可能性を持っているのかを知らないままでいた」(本来ならば、助産師が責任をもってきちんとした指導をしているはず)というのは、子供の死を受け入れるにはあまりにも残酷な状態です。

時に「子供が死ぬかもしれないことを覚悟して自宅出産を選んだ」と仰る方がいますが、これが胎児ではなく、既に生まれている子供に対しての何かの場面での発言だとしたら、どうおもわれますか?
きっとこれは虐待だと誰もがおもうことです。
出産前に本気でそうおもっているというのなら、それは正に胎児虐待ですね。
胎児なら、親の選択で死んでも構わない(仕方ない)という理論ですよね?
でもhaccaさんは違います。
子供には生きて、元気に生まれて欲しかったんです。
助産師は正しい説明をしてくれていると信じていたんです。
多く産んでいるから今度も何も問題ないと信じていたんです。
そして問題の助産師は、これらの問題を知っていて、それでも説明をしなかったんです。

頻産婦は自分(助産師だけで)が扱ってはいけない、ハイリスク出産になるという説明が全くなかったんです。

多産婦・頻産婦にも各々のリスクがあるとういことをきちんと説明して欲しいです。
先の過去記事にくださったコメントの中より、他の方のもご紹介したいのですが特に頻産婦の方が知っておいた方が良いとおもうことだけ今日は抜粋します。

suzanさんから

初産なら胎盤早期剥離が起きないとは限らないですし、
病院で、モニター監視下であっても、剥離が起きるときは起きます。
剥離が起きてから手術まで、時間がかかってしまうこともあります。
このお方が、病院分娩していたら、赤ちゃんは助かった、とは言えません。
胎盤早期剥離は、赤ちゃんの命が失われることが非常に多いのです。
むしろ、自宅分娩で早期剥離が起きたのに、母体が助かった、のは、非常に幸運ではないでしょうか。
亡くなったお子さんが、せめてお母さんだけは助けたい、と思って守ってくれたのかも知れませんね。

胎盤早期剥離のとき、いきなり強い陣痛が来て妊婦がころげまわるように痛がる、のはよく見ます。
このお方は6人目ということで子宮口が開きやすく、
過強陣痛でも子宮が破裂しないで子宮口が開いてくれたのではないでしょうか。
これが初産なら、硬い子宮口が開かず、赤ちゃんが子宮内で亡くなるのみならず、子宮破裂がおきて摘出せざるを得なくなった、可能性もあります。

今、お母さんが無傷で(子宮も無事で(生きていらっしゃるのが奇跡のようなお話です。

お産は怖いですね。
経産婦さんのお産は軽い、と考えがちなのは、一般人も看護師、助産師も、産婦人科医師でもよくあることです。
どんなお産も軽視しないで、大事にひとつひとつ、見守らないとダメ、ということでしょう。

大変にお気の毒です。
ただ、病院で産めば助かったか、といえば
やはり、助からなかったかも知れません。

haccaさんより

皆様、いろいろな意見を伝えて下さってありがとうございます。
今回の場合、病院で産んでいても助からなかったかもしれない、というお考えにはほっとする面があるのです。あの子が死んでしまったことについて、助産師と私の会話には、助産師にはどうしようもない問題で問題があったのは私なのだというニュアンスが多かったので。私がどんなであろうとこの場合は助けられなかった可能性が高いと言われたほうが救われるのです。
注意深い判断と最善の努力の結果であるならば私の中に怒りは湧いてこなかったでしょう。払えない疑問も湧かなかったでしょう。
そして助産師が、自分のとった様々な行為を詫びていたなら、このやり切れない思いも湧かなかったかもしれません。

更にsuzanさんから

琴母さんに今回のことをお話なさるのも大変なことだったでしょうに、
さらにコメントをお書きになるなんて
とても勇気のあるお方なのですね。

そう、考えてみたら、5人ものお子さんを育ててきたお方ですもの、
何があってもいつまでもくじけていられない立場ですね。

それでもわが子を失うのはつらいことと存じます。
お悔やみを言わせてください。
お疲れ様でしたね。

胎盤剥離には、おなかを強くぶつけた、とか
もともと羊水がとても多かった、とか、中毒症がひどかった、など
原因があるものもありますが、ほとんどは原因不明です。
順調な妊娠の末に胎盤剥離を起こしてしまう方々もたくさんみてきました。

誰が何を言っても、そうなのです。
あなたさまに、落ち度はありません。
病院で産んでいたら、と思われるかも知れませんが、
これまで何人か自宅分娩してきた方でしたら
「きっと今回も大丈夫」と思うほうがふつうでしょう。

そういうあなたさまに「多産になるとかえって危険だから病院で産めば?」と
医療従事者が言うべきだったのです。

どうぞ、ご自分を責めないでください。
誰が悪いのでもないのです。

説明不足や言葉の不足もあったでしょうが、
立ち会った助産師さんも、決して「悪い」わけではないと思います。
早期剥離は、突然起きる交通事故のようなもので
予想もできず、避けることもできないのです。

下記はふぃっしゅさんからの一部抜粋

あと、頻産婦さんのお産の怖さは、弛緩出血も多いことです。
また、年齢も上がっていくので、予期せぬことは多々起こると思います。

今回の無介助分娩と共にあったもう一つの問題【頻産婦はハイリスク】を教えてくれたのはハッカちゃんでした。
ハッカちゃん、有難う。