「完母」

完全母乳育児を略して「完母」。
これを目指すのは妊産褥婦、母親なのですが、目指すのは背中を押す方たちがいるからだとおもいます。
子供のためというキャッチコピーで来ますから、無視したらまるで自分が子供を大事にしなかったとおもわれるのではないかという、強迫観念になってしまっているようにおもいます。

母乳神話で私がいつも思い出すのは、持病で投薬があり母乳を与えられないという方のご意見です。覚えてくださっている方もいらっしゃるとおもいます。母乳育児こそが母親の自覚の表れだといわんばかりの風潮により、身体上の問題により成せない方を苦しめます。
自然出産は病院でのお産を否定し、それにより帝王切開は言語道断の扱いとなりますが、実は帝王切開でそれを負に感じている方には優しいんですよ、「医療介入により苦しむ方にケアする」という感じで。これは脱線しちゃうから別にします。
話を戻しまして、母乳育児を熱心に薦めることにより、【いいお産】という歪みを強めているというのは私も同感です。妊娠中から安産と共に完母を目指し、食事内容の見直し(主には菜食主義、玄米菜食のマクロビ等)が始まるのが多いです。

ふぃっしゅさんやうさぎ林檎さんからのご紹介、どらねこさんのブログ どらねこ日誌から

どれも読み応えがあるので、お時間のあるときに是非。

私が助産師の方から聞いてなるほどとおもったのが、「飲ませられ過ぎで泣いていることも結構ある」ということでした。これはふぃっしゅさんが腸の成長に着眼されたことと似ているとおもうのですが、「子供が泣いていると、オムツか空腹か」としか頭が回らなくなり、「オムツも替えたのに泣くんだからおっぱいをあげています」となってしまうのだろうが、お腹の中に飲み過ぎでガスが溜まっているのだから、ガス抜きをしてあげてと聞き、そのやり方も聞いて試したら、ぷっぷとおならをするのと、すっきりしたような表情になったような気がしました。
また、ふぃっしゅさんの仰る「置き去り防止センサー」ですが、私もよくリンズやダンジの背中にはスイッチがあって、置くと背中のスイッチが入って泣くのだと話していたのですが、その名の通りだと思いました。でもこれにはベルト系で一説ありますね、胎児の頃に子宮の中で丸くなって身体をかがめていたのに、母体から出てきて急に背中を伸ばすようになるから泣くのだということで、カゴのようなものに布団などを入れて少し身体を丸めさせると、確かに泣き止むことが多かったです。ただ布団に寝かすのではなく、頭と足の下にクッションを置いて、少し身体を丸めさせても、確かによく眠っていました。たまたまだったのか、医学的な根拠として私は説明、解明は出来ませんが、ここからが少し問題でして、この“胎内で丸まっていた”ということから始まる歪み説で、生後平らなところで寝たり、身体の歪みを治さないことで、運動会で真っ直ぐ走れない子供が増えているということ…こういうことが私は「ちょっと待てよ」とおもうのです、そんなに歪んでいるんですか? 昔の方って、それほど歪みを意識していなかったとおもうので、今よりも歪んでいた子供が多かったかもしれないし…これもちょっと話が変わってしまいますね、別にします。

完母で検索すると分かりますが、多くの方が混合になったことを悔やんでいたり、周囲の方からの「母親としての合格点」を気にしています。私も多分、琴子があのお産で生きていたら熱心な信者になっていたでしょう。母乳も悩まなくて出るので、出ないで苦しんでいる方に出るように熱く熱く語っていたでしょう。そう考えると、懺悔の気持ちを抱いてしまいます。今熱心な方が私のような気がしてしまいます。
母親自体は意外と「出ないんだもん、ミルクでいいじゃん!」という方もいるんですが、私はどうも、やっぱりこれらのコアな信者を産むのはマスコミや出版社が一役も二役もかっているとおもうんですけど…で、そのマスコミ・出版社を扇動しているのが、自然出産にて利益を得ている方たちではないでしょうか?
「母乳ケアはエステのようなものでしょ?」という産科医の方のご意見を聞いたこともあります。乳腺炎等で悩んでいる方にとっては必要なこともあるとおもいますが、料金は4000円前後が多く、決して安いとはおもいません。産科医の方は「自分でやればいいだろうことを、何故そんなに通ってまでするのか」という疑問を残されていました。私には回答の代弁をしきれないけど、核家庭で育児について身近に育児の相談を出来る方がいないので、出産と1ヶ月健診で病院から離れ、そこからは母乳ケアの専門家に頼るという感じなのかなぁと。母乳外来をしている病院もありますから、そういうところに通う方もいるけど、ここでも「時間が決っている」ということが欠点にされていくのかな?もっとゆったりと話したいという母親の気持ちを満たすのかもしれません。だから、エステという表現は妥当な気もしました。私の知っている病院での母乳外来は1回2000円でした。しかし予約一杯で、分娩後すぐに説明を受けたときでも、退院後にすぐに悩む方には対応出来ていない状態でした。今は改善されているかもしれません。

書籍などで「ミルクを安易に選択するのは母親として失格だ!」というようなものが結構あるから、ミルク=頑張らない母親という図式を作ってしまったのだとおもいます。また、助産師もそのような発言や宣伝をしていますよね。検索すれば、たくさん出てきます。私の知っている助産師の方は、ミルクでもいいんだという指導をしていましたので、そういう指導を本気でしてくれる助産師が多くなると良いんです、ふぃっしゅさんがいる病院で分娩して、そういう風に話してくれる助産師さんに出会えるのを当たり前にして欲しいです。

余談で〆ますが、離乳食にも説がありますね、完母を目指す方の中で支持者も多いとおもうある整体指導者の説だったとおもうのが、生後1ヶ月で生肉を与えるって聞いたことがあるんですけど…調べてもネットでは出てこなくて、この話を教えてくれた方に今度聞いてみますが、いつも聞くのを忘れちゃうんです…
西原克成氏の「赤ちゃんの生命(いのち)のきまり―知ってかんがえて育てよう」だったとおもうのですが、2歳まで母乳だけの子だという女の子の写真が載っていました。