妊婦「様」?!

今日は産科医のLUPOさんのブログ「LUPOのパワー全開な日々」の記事
ネズミの国はそんなに魅力的?
を拝読して、考えさせられまして…

いきなり余談ですが、コメント欄には天使ママに心を寄せてくださる方もいて、ちょっと嬉しかったです。

さて本題。

うーん、○ズニーランドに行ったことと早産の因果関係は全く明らかではありませんが。

なんでそんなお腹が大きくなってから○ズニーランドに行きたいと思うかな?

実は多いのです。そういう妊婦さん。
こないだも妊婦健診で9ヶ月の妊婦さんたちが立て続いて、

「産んじゃったら行けないので、今のうちに最後に○ズニーランドに行きたいのですがいいですか?」

と。

・・・ミッキーから叱られない限りは強行しちゃいそうな相談ですね…
マタ旅っていうのも流行ってというか、流行らせたいのですよね。NHKでも宣伝している内容がありました>妊婦さんは出産前に思い出のマタ旅を!NHK Bizスポ マタ旅最前線
こういうのってどうですか、私は好感が持てません。なんでも我慢とはおもっていませんが、逆に“エンジョイし過ぎ”におもえてならないし、無事に産むためには必要な我慢もあるとおもいます。こういうのは『医師の了解』を前提にしているのだろうけど、臨月の高尾山登山と似たものを感じます、「医師の許可を得ているし、緊急時には搬送してもらうから」というのは善意を悪用、他の方への迷惑行為にもなります。
「でも、出産は何があるか分からないんでしょ? だったら、私も出産で死んじゃうかもしれないじゃない! だったらその前に一度だけでも行っておきたい!」
という方はまさか居ないでしょうし、居たらいたで、それも困るんですけどね…すみません、脱線気味。


LUPOさんの記事に寄せられたコメントの中に、天使ママとは別に気になるご意見が…

ある意味無敵かもしれませんね。逆に医師でそんな賭けに出る人いませんもんね。ただネズミーランドがどうか正確にはわかりませんが 妊娠していると行列に並ばずにアトラクションに乗れるから行っておくといいよと聞いたことがあります。

私は千葉県民としての血も流れていますので、ディズニーランドが学校の遠足先だったり、勤め先の行事が何かというとTDLご褒美だったり、結構身近な存在なので、行った回数は熱心なファンではないのに何度もありますが、妊婦が特別待遇を受けている光景を目にしたことはないのです。ちなみに偽装身障者は目にしたことあります、車椅子にのったおばあさん(とはいえ、60代後半くらい)が、昼食を買いに行った家族を待っているときに、隣のテーブルだった私たちに、
「私は本当は歩けるのに、乗れって言われてね…こういうのはかえって疲れるよ」
と、こぼしていました。多分、自尊心が真実を語らせてしまったのでしょう…
LUPOさんは特別待遇を目にしていたご様子です。

パレードの時、車椅子に載ったお腹の大きな妊婦さんとその同行者が、最前列におられるのを見ると、何となく釈然としない私です。だって、みんな一生懸命場所取りしてるんだものね。
(もちろん、他の公共の場では優先されるべきだし気遣われるべき存在であると思っていますよ!)

あそこは埋立地で、すぐ近くに海もあり、園内にも水が多いことから、結構冷えるんですよね。真夏と真冬に行ったことはないのですが、春と秋のそんなに寒くない日でも、夜のパレードでは冷えます。下に敷くものが充実していても、「結構冷えるね」は会話で頻繁です。

気になってネットで調べたら、7年前にディズニーシーに家族で行き、母親は妊婦。妊婦なので乗れるアトラクションは少なく、それは承知していたけど、ある場面でエレベーターに乗ろうとしたら、キャストに「妊婦は健常者なので、乗らないでください、これは身障者やお年寄りの方専用です、階段で上がってください」ということで拒否されたと父親の方が怒っていました。

調べたら分かりました。ゲストアシスタントカードというのがあって、身障者などを対象としている優待カードらしく、数年前までは待ち時間ゼロでアトラクションに乗れたそうですが、該当しない方たちからの苦情により、今はファストパスのようなもので、ファストパスを取るのに並ばないでいい程度のサービス(格下げ)だそうです。母子手帳を見せると貰えるそうで、しかしこれに対しても「妊婦は悪用しているようなものだ、だったら行くな」というような声は多く、また、「私も妊娠中に行ったけど、このサービスを使うことはしなかった/使うべきではない」という方が多いようにおもいます。
妊婦に対してはLUPOさん仰るように

もちろん、他の公共の場では優先されるべきだし気遣われるべき存在であると思っていますよ!

と私もおもっていますが、ネットで
妊婦と分かる服装で行くといいですよ
などというアドバイスがあることからしても、妊娠していることで優遇して貰えるというのをあてにして行っている方もいるわけで、なんだか馬鹿馬鹿しいですね。だったら行くなという方のご意見、御尤も。

去年の新生児・周産期学会で、○ズニーランド近傍の某病院から、

巨大テーマパークからの母体搬送の実際

というテーマの発表がありました。(題名は定かではありません)

数の多さにもびっくりしましたが、全国津々浦々から来ていること、テーマパーク内で常位胎盤早期剥離を起こしてそのまま緊急帝王切開になった症例もあり、その病院の先生たちの「いいかげんにしてくれ」という心の叫びが伝わって来ました。

の、この叫びが、当の妊婦さんたちやそのご家族に伝わるかどうかの問題であるわけですね。

高尾山登山にしてもTDLにしても、マタ旅というのも含めて他の場面でも感じることありますが、妊娠していることで得られる優遇、待遇で好き勝手しているだけのようにもおもえることが増えました。こういうの、出産をイベント化してきたことが手伝っているような気がしています。

去年から果たせずにいる胎盤食べるとか、助産院ではどういうリスクの説明がされているのかとか、VBACの資料もあったりと色々とあるんですけどね、軽い気持ちで調べてみたら、
「○まごくらぶ(雑誌)」でディズニーランドの特集があった(ミッキーにお腹を撫でられると安産になるという説の紹介があったらしい…)
とか、結構考えさせられる問題でした。
妊婦さんが行くことに対して、きちんと批判している方が多く、中には「生後間もない赤ちゃん連れの親子も見るけど、妊娠中にどうしても行きたいという人は、それを我慢したら、生まれてすぐの赤ちゃんを連れて行きそうだ」という懸念の声もあって、あぁと溜息。
こうなったらやっぱりミッキーが言うべきだね、「赤ちゃんを一番大切にしてね!」って。