「カンガルーケア」はやるべきか?

今回、非常に疑問の多く残る判決がくだされてしまいました。
「カンガルーケアで後遺症」病院の賠償責任認めず
原告のご両親は控訴するということ。この内容では当然のことだと思います。

助産所や自宅出産でも、カンガルーケアは肯定されている行為です(まだ過去形にはできない)。ある助産院のHPでは自宅出産の際に必要なものとして、分娩時に前開きのネグリジェかパジャマなどを着るように記しています。その理由は授乳のしやすさと共に、カンガルーケアが行い易いためとも書かれていました。
最近ではカンガルーケアに対して留意点が出されたり(あれ? ネット上にあったものが削除されている? ならばこちらを>カンガルーケア、安全に留意を 学会がチェック項目)して以前よりは「危険なんじゃないのか?」という意識が広まりつつある感じがしますが、しかし一度浸透してしまった「カンガルーケアはやった方が良い」という意識の方がまだまだ強く残っているでしょう。多分、「異常がないお産なら大丈夫」とおもってカンガルーケアを実行している方も多いのではないでしょうか。でもこれは今回の判決で言われているような自己責任なんかじゃないはずです、先のように、カンガルーケアを取り入れることに積極的な姿勢の専門家がいるからこその私たちの選択でもあるのです。これについてはふぃっしゅさんが以前に当ブログにくださったご意見をお読みいただければと思います。私たちが勘違いしてはいけないのは、カンガルーケアをする前から異常があったのではなく、カンガルーケアをしたことによって異常が生じたということです。それなのに、「「カンガルーケアによって低体温になったとは認められない」ということならば、

判決によると、女児は2010年12月、府内の病院で生まれた直後から、母親(28)の胸の上にうつぶせにして抱かれ、ケアが始まった。しばらく授乳したが、その後に心肺停止状態となり、重度の脳性まひを負った。

黒野裁判長は、母親の乳房で長女の鼻がふさがれ、窒息した可能性は認めたが「医療関係者でなくても窒息を防ぐことはでき、病院に責任があるとまではいえない」と結論づけた。

というのは、ゆくゆくは母乳育児が危険ってことを言っているようなものにもなりませんか? いや、だって、私だってカンガルーケアを経験しています(琴子の妹の分娩時;ブログに過去、何度か書いています)が、助産師の方はかなり神経質になって気にしていてくれて、凄くガッチリと毛布だかの掛け布団で母子をガードしてくれていましたし、振り返るとあれらは子どもの体温が下がらないかと気にしていてくれたのだと思い出せます。確かカンガルーケアをしている間は授乳はしませんでしたね、体の自由を奪われるくらいにガードされていたような気がする。ただ、琴子の弟を産んだ時には同じ病院でしたが、「やるほどでもない」とおもってしませんでしたし、更に今ではカンガルーケアの危険性や事故にあわれた方たちのお話を知り、「少しでも危険性があるのなら、する必要はないって言ってくれた方が良い」とさえ思っています。もちろん、医療として必要なケースはあるかとおもいますから、そういう判断は医師の方に委ねたいですね。そういう線引きをしっかりとしておかないと、これからも今回のように「自己責任」って言われてしまうんじゃないかと思いました。

カンガルーケア(早期母子接触)について、今回の件をもっとテレビでも扱って、全く興味なくおもっていたり、情報として得られずにいる方たちにも一気に伝わるようにして欲しいです。事故を知らずにやっている方、まだまだ結構いると思われます。

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カンガルーケアのガイドライン ※2010.12.25 コメント欄を追記